AppleのAI検索プロジェクト責任者がMetaへ移籍、AI部門からの人材流出が続く

Apple AI検索プロジェクト責任者のMetaへの移籍

Appleの人工知能部門において、重要な人材の流出が続いています。最近、同社のAI駆動型ウェブ検索プロジェクトの責任者に任命されたKe Yang氏が、Metaへ移籍したことがBloombergのMark Gurman氏によって報じられました。

Yang氏は、Apple社内で「Answers, Knowledge, and Information」(AKI)として知られる新設グループの責任者に就任したばかりでした。このチームは、SiriをよりChatGPTのように機能させ、ウェブからリアルタイム情報を取得する技術の開発を担当しており、2026年3月に予定されているSiriの大規模な刷新の中核をなすものとされています。この刷新には、Siriが個人データにアクセスし、より複雑な多段階のリクエストを処理する機能が含まれると報じられています。

相次ぐAI部門からの人材流出

Yang氏の移籍は、AppleのAI部門からの相次ぐ人材流出の最新事例です。今年だけでも、12人以上のシニア研究者やエンジニアが同部門を去ったとされています。これらの退職者の多くは、Appleのコアとなる生成AIモデルの開発を担うFoundation Modelsチームからのものでした。同チームを率いていたRuoming Pang氏も、今年初めにMetaに移籍し、新しい研究部門「Superintelligence Labs」の設立に貢献しています。

Yang氏のAKIグループ責任者への昇進は、前任者であるRobby Walker氏の退職からわずか数週間後のことでした。Yang氏の退職に伴い、AKIチームは今後、Appleの機械学習インフラストラクチャを担当するJohn Giannandrea氏の副官であるBenoit Dupin氏の指揮下に入ることになります。

AppleのAI戦略とセキュリティへの示唆

AKIプロジェクトは、OpenAI、Perplexity、Google Geminiといった競合他社とのAIパワード検索および会話型インターフェースにおける差を埋めるための、Appleの主要な取り組みとなっています。Gurman氏によると、「Answers」機能は、ライブインターネットデータから応答を合成し、最新の回答と文脈情報を提供するSiriの新しいレイヤーとして設計されています。

しかし、Siriが「個人データ」にアクセスし、「複雑な多段階リクエスト」を処理する機能は、セキュリティとプライバシーの観点から極めて重要です。主要なAI人材の相次ぐ流出は、これらの機密性の高い機能の開発におけるセキュリティ対策や品質保証体制に影響を与える可能性があり、今後の動向が注目されます。AI開発競争が激化する中で、機能展開のスピードとセキュリティのバランスをいかに保つかが、Appleにとって大きな課題となるでしょう。


元記事: https://www.macrumors.com/2025/10/16/apple-ai-search-head-leaves-for-meta/