はじめに:「探す」ネットワーク対応のChipolo製品
Appleが「探す」ネットワークアクセサリープログラムを開始して4年以上が経過し、AirTag以外の対応デバイスも進化を続けています。今回注目するのは、Appleの「探す」ネットワークに統合されたChipoloの新しいアクセサリー、「Loop」と「Card」です。これらの製品は、充電可能なバッテリーを搭載し、紛失物の追跡に新たな選択肢を提供します。本記事では、これらの製品の機能、AirTagとの比較、そしてセキュリティ面での利点と限界について詳しく解説します。
Chipolo Loopの特長とAirTagとの比較
Chipolo Loopは39ドルで提供され、丸い形状をしています。AirTagよりも大きいですが、交換可能なバッテリーを内蔵していないため軽量です。最大の特長は、USB-C経由で充電可能な内蔵バッテリーで、最大6ヶ月間持続します。これにより、AirTagのようにCR2032バッテリーを交換する手間が省け、ユーザーにとって非常に便利です。
デザイン面では、Loopには柔軟なシリコン製のループが組み込まれており、キーホルダーなどに取り付けるための追加アクセサリーが不要です。プラスチック製で、ネイビー、ミント、ハニー、コーラル、チャコールなど複数のカラーバリエーションがあります。IP67の防水性能を備え、水深1メートルまでの浸水に耐えられます。また、スピーカーを内蔵しており、音を鳴らして紛失物を探すことができ、充電ライトが点滅して暗闇での視認性を高めます。Bluetoothの通信範囲は400フィート(約120メートル)で、AirTagと同程度ですが、UWB(超広帯域無線)による「正確な場所を見つける」機能には対応していません。
Chipolo Cardの特長と財布での利用
同じく39ドルのChipolo Cardは、クレジットカードのように財布に収まるように設計されています。AirTagは厚みがあるため財布には不向きですが、Cardは厚さ2.5mm(標準的なクレジットカード約3枚分)と薄型で、多くの財布にフィットします。色はマットブラックのみで、目立たないデザインは、万が一財布が盗まれた際にも追跡デバイスと気づかれにくいという利点があります。
CardにはUSB-Cポートの代わりにQiワイヤレス充電機能が搭載されており、MagSafe充電器に磁力で吸着して充電できます。バッテリー寿命やその他の仕様(音量、Bluetooth範囲、防水性能、Find My機能)はLoopと同様です。こちらもUWBによる「正確な場所を見つける」機能には対応していません。
「探す」ネットワークとの連携とセキュリティ機能
Chipolo LoopとCardは、AirTagと同様にAppleの「探す」アプリに簡単に登録できます。「探す」アプリでは、以下の機能が利用可能です。
- アイテムの現在地を地図上で確認
- 音を鳴らしてアイテムを探す
- アイテムまでの経路案内
- アイテムを他のユーザーと共有
- 紛失モードで所有者情報を表示し、アイテムの場所を共有
- 置き忘れ通知(アイテムが手元から離れた際に通知)
- 置き忘れ通知の例外設定(自宅など安全な場所では通知しない)
- バッテリー残量の表示
これらの機能は、紛失したアイテムを安全に追跡し、回収するために非常に重要です。特に、「探す」ネットワークは、世界中の何十億ものAppleデバイスが匿名で連携し、紛失したChipoloデバイスの位置情報を所有者に中継するため、広範囲での追跡を可能にします。これは、アイテムのセキュリティと回収率を大幅に向上させる強力な機能です。
ただし、AirTagが提供する「正確な場所を見つける」機能(UWBを利用した高精度な屋内追跡)はChipolo製品にはありません。このため、鍵やApple TVのリモコンなど、屋内で紛失しやすいアイテムの追跡にはAirTagの方が優れている場合があります。
Chipoloアプリで広がる機能
Chipolo LoopとCardは「探す」アプリで動作しますが、専用のChipoloアプリをダウンロードすることで、さらに便利な機能が追加されます。
- 電話を鳴らす:デバイスをダブルプレスすると、iPhoneを鳴らすことができます。Apple Watchのping機能がない場合に便利です。
- 着信音の変更:デフォルトの音以外に、様々な着信音(童謡やクラシックなど)を選択できます。
- セルフィー撮影:デバイスのダブルプレスでカメラアプリのセルフィーを撮影できます(Chipoloアプリ経由)。
- リング&点滅:音を鳴らす際にデバイスを点滅させることができ、暗闇での発見に役立ちます。
結論:充電機能とデザインが魅力、UWB非対応は考慮点
Chipolo LoopとCardは、充電可能なバッテリー、多様なデザインオプション、そしてAirTagよりも大きな音量(設定による)といった点で、AirTagに対する魅力的な代替品となります。特に、LoopのUSB-C充電とCardのQiワイヤレス充電は、バッテリー交換の手間を省きたいユーザーにとって大きなメリットです。
一方で、AirTagが持つUWBによる「正確な場所を見つける」機能がない点は、屋内でアイテムを頻繁に紛失する可能性のあるユーザーにとっては考慮すべき点です。価格はAirTag(29ドル)より高価な39ドルですが、内蔵バッテリーの利便性や、AirTagに別途アクセサリーを購入する必要があることを考慮すると、その価値は十分にあると言えるでしょう。
総合的に見て、Chipolo LoopとCardは、Appleの強力な「探す」ネットワークを活用しつつ、充電の利便性と特定のデザインニーズに応える、優れた紛失防止タグの選択肢です。特に、財布に収まる薄型トラッカーや、バッテリー交換の手間を避けたいユーザーには強く推奨されます。
元記事: https://www.macrumors.com/review/chipolo-loop-and-card/
