はじめに:ClickUpがAI機能を強化し市場競争へ
生産性プラットフォームのClickUpは、AIアシスタント機能を新たにリリースし、プラットフォーム全体を刷新しました。これは、SlackやNotionといった競合他社との差別化を図り、顧客にとっての「ワンストップショップ」となることを目指す動きです。今回の主要な機能強化は、企業向け検索スタートアップであるQatalogの買収によって可能になったとされています。
2種類のAIエージェントが登場
ClickUp 4.0では、主に2種類のAIエージェントが導入されました。
- コミュニケーションチャネル常駐型エージェント:このエージェントは、すべてのコミュニケーションチャネルに存在し、ユーザーが抱く可能性のある質問を積極的に探し出し、回答を提供します。その際、社内の知識ベースだけでなく、Google Drive、OneDrive、Figma、Gmailといった外部ソースに保存された情報も活用します。
- 汎用アシスタント「Brain」:サイドバーに常駐し、ClickUpインターフェースのどこからでもアクセス可能な「Brain」は、より汎用的なアシスタントです。アイデアの生成、チームメンバーの空き状況に基づいた会議のスケジュール設定、タスクへのコメント追加、新規タスクの作成といった業務を遂行できます。さらに、Webアクセスや他の統合ツールとの連携、レポート分析、ドラフト作成能力も備えています。
ClickUp 4.0のその他の主要機能
今回のリリースでは、AI機能以外にもユーザーエクスペリエンスを向上させる多くの新機能が追加されています。
- タスク、ドキュメント、コミュニケーション間のシームレスな切り替え:ユーザーはサイドバーのオプションを通じて、社内フォーラムのタイムライン、異なるコミュニケーションチャネル、タスク表示を容易に切り替えることができます。
- AIを活用したコミュニケーション機能:昨年導入されたAIによる要約機能やライブビデオ/オーディオ通話「Syncups」が強化されました。Syncupボタンはすべてのチャネルに配置され、AIノートテイカーがライブビデオ通話を記録、文字起こしし、議事録を参加者全員に送信できるようになりました。
- カレンダーツールの進化:カレンダーツールは、会議の予定を分析し、特定のタスクを優先事項としてマークした場合、それに応じて会議やタスクを自動的に調整する機能が追加されました。
- インターネットスタイルのチームダッシュボード:リーダーは、さまざまなチャネルからの更新情報、作業進捗に関するチーム分析、休暇中のメンバーなどを一目で確認できるダッシュボードを利用できます。
CEOのビジョンと今後の展望
ClickUpのCEOであるZeb Evans氏は、TechCrunchの取材に対し、「8年前の創業当初から、すべての業務ソフトウェアを置き換えるというビジョンと戦略があった」と語っています。彼は、AI時代において、スプレッドシート、テーブル、ドキュメント、タスクといったソフトウェアの「プリミティブ」を構築するための柔軟なデータモデルプラットフォームがこれまで以上に重要であると強調しました。
ClickUpは近年、年間経常収益が3億ドルを突破するなど大きな勢いを見せており、今後2年以内の株式公開を計画しています。これまでにa16z、Tiger Global、Craft Ventures、Lightspeedなどの投資家から5億3,700万ドル以上の資金を調達しています。
