テスラ「マスタープラン4」の具体性欠如、巨額報酬承認を前に懸念
テスラが2ヶ月以上前に発表した「マスタープラン4」は、同社が「持続可能な豊かさ」を広めるという壮大なビジョンを掲げているものの、その具体的な内容は依然として不明瞭なままです。この計画は、今週木曜日に予定されているイーロン・マスクCEOへの1兆ドル規模の報酬パッケージ承認投票において、株主を説得するための中心的な要素として位置づけられています。
曖昧な計画と過去のマスタープランとの対比
マスタープラン4の発表当初から、その曖昧さには一部のテスラ支持者からも批判の声が上がっていました。マスク氏自身もこの批判を「公平」と認め、「より具体的な内容を追加する」と約束しましたが、現在に至るまで計画は変更されていません。過去のマスタープラン1から3は、具体的な目標や実現可能なアイデアを含んでおり、特にマスタープラン3は41ページにわたる詳細な白書として発表されました。これに対し、マスク氏はマスタープラン3が「ほとんど誰にも理解できないほど複雑だった」とし、マスタープラン4は「簡潔になる」と述べていましたが、結果としてその内容は極めて抽象的なものとなっています。
報酬承認の根拠としての利用と企業統治の課題
テスラは、株主への投票に関するあらゆる資料において、このマスタープラン4をマスク氏の報酬パッケージ承認の理由として強調しています。取締役会議長のロビン・デンホルム氏やデザイン責任者のフランツ・フォン・ホルツハウゼン氏も、インタビューでこの計画に言及し、「労働、モビリティ、エネルギーを再構築し、FSD、Optimus、Robotaxiといった製品やサービスを通じてAIを物理世界にもたらす」と説明しています。しかし、デンホルム氏はメディアの取材に対し、マスタープラン4のより明確なビジョンを示すことなく、マスク氏が報酬を受け取るために達成すべきマイルストーン(その多くは過去の「とんでもない約束」を骨抜きにしたもの)に焦点を当て続けています。
透明性の欠如と株主への影響
マスク氏自身も、9月2日以降、X(旧Twitter)でマスタープラン4について直接言及することはなく、報酬パッケージの推進や移民に関する扇動的な発言、ニューヨーク市長選挙に関する誤情報の拡散に時間を費やしています。メディアからの計画の曖昧さに関する質問に対しても、フォン・ホルツハウゼン氏は「テスラ流でやる」と述べるに留まり、具体的な説明を避けています。このような計画の具体性の欠如と、それが巨額の報酬パッケージと結びつけられている状況は、企業統治における透明性の課題を浮き彫りにし、株主が十分な情報に基づいて意思決定を行う上での懸念となっています。
