新型EV「ジープ・レコン」登場の背景
かねてより注目を集めていた全電動SUV「ジープ・レコン」が遂に発表されました。航続距離は推定250マイルを誇り、ジープブランドが電動SUV市場を席巻する上で重要な役割を担うと期待されています。親会社であるStellantisは、2030年までに北米におけるジープの販売台数の半分、欧州では全販売台数をEVが占めるという野心的な目標を掲げていましたが、市場の需要予測と合致せず、他の自動車メーカーと同様にEV計画の見直しを余儀なくされていました。例えば、ラムはバッテリー式フルサイズピックアップトラックの生産計画を中止し、航続距離延長型のラム1500 REVに注力する方針を示しています。
こうした中で、多くの計画が後退する中、WranglerのDNAを受け継ぐ「ジープ・レコン」は生き残り、2026年モデルとして生産が決定。来年からメキシコのトルーカ組立工場で生産が開始され、米国とカナダを皮切りにグローバル展開される予定です。エントリー価格は65,000ドル(輸送費1,995ドルを除く)と設定されています。
レコンの卓越したオフロード性能と技術
レコンは単なる電動SUVに留まらず、そのオフロード性能も際立っています。「Trail Rated」バッジが示す通り、本格的なオフロード走行に対応します。標準装備として、ブランド独自のSelec-Terrainトラクションマネジメントシステム、車体下部保護、牽引フック、オフロードタイヤ、そしてデファレンシャルを電子的にロックして両後輪にトルクを確実に伝達するe-ロッカーアクスルテクノロジーを搭載しています。
ジープブランドのCEOであるボブ・ブロダードーフ氏は、「ジープ・レコンによって、電動化がオフロード性能と両立するだけでなく、それをさらに向上させることができると証明しています。瞬時のトルク、精密な制御、そしてより静かでコネクテッドなドライビング体験は、まさにジープならではのものです」と述べています。
パワートレインは、100キロワット時のバッテリーパックを搭載し、最高出力650馬力、最大トルク620lb-ftを発生。0-60mph加速はわずか3.6秒という驚異的な数値を記録しています。インテリアには、ジープ史上最大の14.5インチ水平タッチスクリーンが採用されており、最先端の技術と快適性を融合。Wranglerに着想を得たLEDテールランプ、スイングゲート、取り外し可能なドアなど、クラシックなジープの魅力も健在です。
NACS充電規格採用の光と影、そしてセキュリティへの示唆
今回の発表では、ジープ・レコンを含む一部のEVに北米充電システム(NACS)を採用することが明らかにされました。これにより、オーナーは将来的にテスラのスーパーチャージングステーションをより利用しやすくなるという利便性が期待されます。しかし、現行のジープ・レコンにはNACSシステムは直接統合されておらず、数千箇所のテスラのスーパーチャージングステーションを利用するにはNACSアダプターが必要となります。
このアダプターの必要性は、セキュリティの観点からいくつかの示唆を与えます。充電インフラの標準化は歓迎すべき進展である一方で、異なる規格間を繋ぐアダプターは、その設計や品質によっては潜在的な脆弱性となり得ます。高出力な電力供給に関わるアダプターのセキュリティは、物理的な安全性はもちろんのこと、車両への電力供給の安定性や、将来的なデータ通信の信頼性にも影響を及ぼす可能性があります。EVエコシステムの相互運用性が進む中で、アダプターや充電ステーションを含む全てのコンポーネントにおいて、強固なセキュリティ対策が講じられていることの重要性が改めて浮き彫りになります。ユーザーは、信頼できる正規のアダプターを使用し、安全な充電習慣を心がける必要があるでしょう。
元記事: https://techcrunch.com/2025/11/18/the-all-electric-jeep-recon-is-finally-here/
