米CPSC、Rad Power BikesのE-Bikeバッテリーに発火警告
米国消費者製品安全委員会(CPSC)は月曜日、Rad Power Bikesのe-bikeバッテリーに対し、発火や爆発の危険性があるとして使用中止の厳しい警告を発しました。CPSCによると、これらのバッテリーは「予期せず発火・爆発する可能性」があり、特に水やゴミがセルやハーネスに侵入した場合にリスクが高まるとのことです。
これまでに31件の発火事故が報告されており、うち12件では総額734,500ドルに及ぶ物的損害が発生しています。注目すべきは、一部の事故がバッテリーが充電中ではない、または自転車が保管されている間に発生している点です。今のところ、これらの火災による負傷者は報告されていません。
警告の対象モデルとメーカー側の反論
CPSCが警告の対象としているバッテリーモデル番号は「HL-RP-S1304」または「RP-1304」で、これらはバッテリー背面のラベルに記載されています。対象となるe-bikeモデルは以下の通りです。
- RadWagon 4
- RadCity HS 4
- RadRover High Step 5
- RadCity Step Thru 3
- RadRover Step Thru 1
- RadRunner 2
- RadRunner 1
- RadRunner Plus
- RadExpand 5
CPSCは、Rad Power Bikesが「受け入れ可能なリコールに同意することを拒否」したと述べています。同社はCPSCに対し、「財政状況により、すべての消費者に交換用バッテリーや払い戻しを提供できない」と示唆したとされています。
Rad Power Bikesの反論と安全性への取り組み
これに対し、Rad Power Bikesのブランドマーケティング・コミュニケーションディレクターであるKelsey Wolf氏は、CPSCによるバッテリーの「欠陥または不安全」との特性評価に「強く異議を唱える」と表明しました。同氏は、独立したテストでバッテリーが業界の安全基準に適合していることを確認しており、CPSCもこれらの調査結果を否定していないと主張しています。
Wolf氏によると、火災事故の発生率は「1%未満のわずかな割合」であるものの、同社はいかなる事故報告にも心を痛めているとのことです。Rad Power BikesはCPSCに対し、既存の顧客に熱抵抗技術を備えた新バッテリーへの割引アップグレードを提供するなど、複数の「誠意ある解決策」を提案しましたが、CPSCはこれを拒否したとされています。
Wolf氏は、「全面的かつ無条件のリコールの膨大な費用は、Radを直ちに閉鎖に追い込み、ライダーや従業員をサポートする方法を失うことになるだろう」と述べ、会社の存続に関わる問題であることを示唆しました。
なお、Rad Power Bikesは昨年、熱抵抗技術を備えた新バッテリーを導入し、バッテリーセルにエポキシ樹脂を注入することで熱暴走を防ぐ対策を講じています。また、バッテリーセルを18,650から21,700に移行し、バイクとバッテリーの両方でUL安全認証に準拠するなど、他の安全対策も実施していると説明しています。
E-Bikeバッテリー火災問題の背景
近年、米国および英国では、欠陥のあるリチウムイオンバッテリーに起因するe-bike火災が多発しており、深刻な社会問題となっています。特にニューヨーク市では、多数の配達員がe-bikeを利用しており、過去数年間でバッテリー火災により数十人が死亡しています。
北米におけるe-bikeの主要販売業者の一つであるRad Power Bikesは、パンデミック後の自転車ブームの終焉後、最近財政難に陥っていると報じられており、今回のCPSCによる警告は、同社の経営にさらなる影を落とす可能性があります。
元記事: https://www.theverge.com/news/828004/rad-power-bikes-batteries-fire-cpsc
