RAM価格が異常な高騰、販売店は時価販売に移行しPC市場に深刻な影響

RAM価格の異常な高騰と時価販売の現状

現在、RAMの価格が異常なまでに高騰しており、その影響はPC市場全体に広がりを見せています。サンフランシスコ・ベイエリアの「Central Computers」や「Micro Center」といった大手販売店では、もはやRAMを固定価格で販売することができず、まるで高級食材のロブスターのように市場価格で提供する事態に陥っています。

Central Computersの店頭には、「メーカーや流通業者が供給不足と高需要に対応するため、コストが日々変動しています。このため、現時点では固定価格を表示できません。」というメッセージが掲示されています。Micro Centerも同様の対応を取っており、来店客は「市場の変動により、価格については販売員にお尋ねください」と案内されています。

価格高騰の背景と具体的な影響

このRAM不足が、いかに急速にコンピューターの価格に影響を与えているかは、筆者の体験からも明らかです。3ヶ月前に購入した32GBのゲーミングPC用メモリキットは、その価格が3倍以上に跳ね上がりました(130ドルから440ドルへ)。より一般的な同種のキットも105ドルから400ドルへと高騰しています。一部の製品では10月から価格が倍増しており、現在では32GBキットが230ドル、64GBのDDR5キットに至っては、簡単に700ドルから900ドルに達するケースも見られます。

ゲーム業界とハードウェアへの波及

RAM価格の高騰は、PC市場だけでなく、他の領域にも深刻な影響を及ぼしています。あらゆるゲーム機からスマートフォンに至るまで、RAMは不可欠な部品であり、その不足は製品の価格や供給に直結します。

  • Valveは、RAM不足が原因でSteam Machineの特定の価格をまだ約束できないと示唆しています。
  • GPU市場も再度の価格上昇の危機に瀕しています。全てのグラフィックカードは大量のVRAMを必要とし、情報筋によるとNvidiaAMDはRAM不足を補うために価格を引き上げる準備をしていると報じられています。Digital Foundryは、現在MSRP(メーカー希望小売価格)以下で販売されているGPUを今のうちに購入するよう推奨しています。
  • リーカーのMoore’s Law Is Deadは、MicrosoftがXboxの価格を再び引き上げる可能性があると主張していますが、SonyPS5向けに十分なRAMを数ヶ月間備蓄しているようです。

AI需要がもたらす長期的な影響

このRAM価格高騰の根底には、人工知能(AI)分野からの圧倒的な需要があります。Epic GamesのCEO、Tim Sweeney氏は、AIによるDRAMの需要がハイエンドゲーミングの回復を遅らせる可能性を指摘しています。

Sweeney氏によると、「データセンターは消費者向けデバイスメーカーよりもはるかに高い価格で入札しているため、工場は最先端DRAMの生産能力をAIの需要に振り向けている」とのことです。この状況が続けば、ハイエンドゲーミングが以前の状態に戻るまでには、数年を要するかもしれないと警告しています。


元記事: https://www.theverge.com/news/828337/ram-memory-shortage-crunch-market-prices-central-micro-center