Google、AI生成レシピの著作権侵害でX投稿を削除
Googleが、自社のAIモデル「NotebookLM」のプロモーションで投稿したレシピのインフォグラフィックが、著名フードブロガーのコンテンツを無断使用したものであるとの疑惑を受け、X(旧Twitter)の投稿をひっそりと削除しました。この出来事は、Googleが先日発表した強力な画像生成AIモデル「Nano Banana Pro」が、インフォグラフィック作成においても優れた能力を持つと宣伝されている中で発生しました。
発端:NotebookLMのAI生成レシピ投稿
問題となったのは、GoogleのNotebookLMアカウントが「AIで生成できる心温まる『家族のレシピ』」として共有した「クラシックバターハーブスタッフィング」のインフォグラフィックレシピカードです。
著作権侵害の指摘と詳細
この投稿後、XユーザーのNate Hake氏が、このレシピカードがブログ「HowSweetEats」に掲載されているスタッフィングのレシピと驚くほど酷似していることを指摘しました。Hake氏は、AIが「考えた」のではなく、元のレシピを一字一句スクレイピングし、Googleのモデルを通して可愛らしいカードに変換したに過ぎないと主張しています。
コンテンツクリエイターへの影響とHake氏の批判
Hake氏は、Googleが「ソースウェブサイトへのリンクすら提供せずにAIによる要約を公開する」という一線を超えてしまったと批判しています。これは、ウェブサイトの利用規約に明らかに違反する行為であり、Googleが検索における独占的地位を「回答そのものの独占」へと転換しようとしている証拠だと述べています。彼は、「Googleはかつてコンテンツ作成に尽力したウェブサイトにクリックを送っていたが、AIの登場によりコンテンツをスクレイピングし、AI要約として再公開することで、オリジナルのクリエイターへのクリック数をますます減らしている」と警鐘を鳴らしました。
Googleの対応と他社の動向
批判を受け、GoogleはNotebookLMの投稿を静かに削除しました。同様の批判はGoogleだけでなく、MicrosoftもCopilotの機能に関するX投稿を削除した事例があるなど、AIプロモーションにおける倫理的な問題が業界全体で浮上しています。
AI生成回答における広告収益化の動き
今回の件は、GoogleがAI生成の回答内に広告をテストし始めている時期と重なります。これらの広告は引用元とともに表示されるため、ユーザーはそれがオーガニックなリンクなのか広告なのかを識別しにくい可能性があります。Googleは、これが数ヶ月前から行われている実験の一環であることを認めています。AI分野で市場をリードするOpenAIも、ChatGPTでの広告導入を検討しており、AIによる回答における広告のあり方、そしてそれがユーザー体験と情報信頼性にどのような影響を与えるかが今後の大きな焦点となるでしょう。
