CEO交代劇の背景:IPO時期と国際展開を巡る意見の相違
英国の主要なフィンテック企業であるMonzoにおいて、最高経営責任者(CEO)を務めていたTS Anil氏が、取締役会からの要請により辞任に追い込まれたと報じられています。この交代劇の背景には、同社の国際展開戦略および株式公開(IPO)の時期を巡るAnil氏と取締役会との間の意見の対立があったとFinancial Timesが伝えています。
報道によると、Anil氏は取締役会が望むよりも早期のIPOを推進しようとしていた一方で、取締役会は国際的な事業拡大と企業価値のさらなる向上により多くの時間を割きたいと考えていました。さらに、Anil氏がIPO直後に辞任する可能性を示唆したことも、取締役会の懸念を増幅させた要因の一つとされています。
前CEO Anil氏の功績と残された課題
TS Anil氏は2020年の就任以来、Monzoの成長に大きく貢献しました。彼のリーダーシップの下、Monzoは顧客基盤を1,300万人にまで3倍に拡大し、税引前利益も6,050万ポンドを計上するなど、目覚ましい業績を達成しました。
しかし、その一方で、Monzoの顧客のほとんどは英国に集中しており、2021年に頓挫した米国市場への展開など、国際化の停滞が大きな課題として残されていました。この国際展開の遅れも、取締役会がAnil氏の退任を決定した一因になったと見られています。
新CEO Diana Layfield氏に託される未来
Anil氏の後任として来年初めにMonzoの舵を取るのは、元Google幹部のDiana Layfield氏です。彼女はGoogleで9年間、Standard Charteredで10年以上の経験を持つベテランであり、その豊富な経験を活かし、Monzoの国際戦略を再構築し、最終的な株式公開へと導く役割を担います。
Monzoは2024年10月のセカンダリー株式売却で59億ドルの評価額を得ており、新CEOの指揮のもと、国際市場でのプレゼンスを確立し、さらなる成長を遂げた上でのIPO実現が期待されています。
元記事: https://techcrunch.com/2025/12/16/monzo-board-reportedly-pushed-out-ceo-anil-over-ipo-timing/
