匿名メッセージアプリNGL、Mode Mobileに買収
匿名メッセージアプリNGLが、報酬型スマートフォンを提供するスタートアップMode Mobileに買収されたことを金曜日に発表しました。Mode Mobileは、ユーザーに広告を表示することで収益を上げる「earphone(アーンフォン)」を開発しており、今回の買収は、物議を醸してきたNGLの歴史に新たな章を加えるものです。
NGLが抱えてきた問題とその背景
NGLは2021年後半に登場して以来、App Storeのランキングを急速に駆け上がりましたが、その存在は常に論争の的となってきました。匿名メッセージアプリは、特にティーンエイジャーの間でのいじめを助長する可能性が指摘されており、Snapchatは2022年にNGLを含む同様のサードパーティアプリをプラットフォームから締め出しています。
NGLはまた、疑わしい成長ハック戦術によって批判を浴びてきました。アプリは、あたかも実在の人物から送られたかのような偽のメッセージをユーザーに送りつけ、メッセージの送信者を特定するヒントを得るために月額9.99ドルの課金を促していました。実際にはこれらのメッセージはアプリによって自動生成されたものであり、多くのユーザーが騙されました。
こうした問題を受け、FTC(米連邦取引委員会)は2年間の調査を行い、2024年にはNGLに対し未成年者へのアプリ提供を禁止するという厳しい措置を発表しました。FTCは声明で、「NGLの『釣りのような』戦術には多くの消費者が不満を訴えたが、NGLの幹部らはこれを『カモ』と嘲笑っていた」と述べています。NGLはFTCに500万ドルの罰金を支払い、要求に応じました。
Mode Mobileの「earphone」とは
買収元であるMode Mobileは、ユーザーがスマートフォンで日常的なタスク(音楽を聴く、ゲームをする、ウェブを閲覧するなど)を行うことで収益を得られると謳う「earphone」を提供しています。同社の投資家向け資料によると、Mode Mobileは「ユーザーの注目とエンゲージメントに対して対価を支払うデジタル広告パートナー」から収益を得ています。実質的には、ユーザーのスマートフォンは常に広告に溢れることになりますが、それによって少額の報酬が得られる仕組みです。
NGLのこれまでの「いかがわしい成長ハック」の実績を考えると、広告で収益を上げるMode Mobileとの提携は「お似合い」であるとTechCrunchは指摘しています。
買収後の展望と課題
買収条件は明らかにされていませんが、Business Insiderの報道によると、NGLの創業者であるRaj Vir氏とJoão Figueiredo氏はアプリを離れるとのことです。残る3人の従業員はMode Mobileで勤務する予定です。
匿名メッセージという特性と、広告による収益化というビジネスモデルがどのように融合し、展開していくのか、今後の動向が注目されます。
