ホリデーシーズンを席巻する新たなモーションゲーム機
今年のホリデーシーズン、突如として注目を集め、完売を記録したモーションゲーム機があります。その名は「Nex Playground」。わずか3インチキューブ型のこのデバイスは、スマートフォンの性能にも劣る可能性があり、単一のカメラで身体の動きをトラッキングするというシンプルな仕組みを採用しています。厳選された子供向けゲームのみがプレイ可能で、任天堂WiiやMicrosoft Kinectと比較されることが多いものの、トラッキング性能では両者に及ばないと評されています。
価格は本体250ドルに加え、年間89ドルまたは四半期49ドルのサブスクリプション料金が必要と、決して安価ではありません。提供されるゲームの多くは「凡作」レベルで、グラフィックも粗いと指摘されています。しかし、それでも子供たちはこのデバイスに夢中になりました。その理由は、ゲームの品質ではなく、コントローラーなしで簡単に始められ、身体を動かして遊べるというシンプルさにありました。
革新的ながらも浮き彫りになる技術的限界
Nex Playgroundは、Wiiが採用した赤外線カメラと加速度計、Kinectの3D空間での骨格推定とは異なるアプローチを取っています。単一の広角カメラから肩、肘、手首の6つの関節を識別し、平面画像から身体のポーズを推定します。これにより、バーチャルボウリングのボールを投げたり、左右に操ったりすることが可能です。
しかし、この技術には明確な限界があります。3D深度を認識できないため、複数のプレイヤーがカメラの視野に入ると、システムが混乱し、全員の身体を同一人物と誤認することが頻繁に発生します。記事の著者も、子供たちがゲーム中に互いのターンを奪い合って泣き出す場面に直面しました。
ユーザーに課される厳しいプレイ環境条件
- 繰り返しの模様や長袖の衣服を避ける
- 明るい部屋で、逆光にならないようにプレイする
- カメラの視野に非プレイヤーを入れない
これらの推奨事項は、シングルカメラのトラッキング精度を保つために必要不可欠ですが、特に子供のいる家庭では守るのが難しい場合が多いと著者は指摘しています。例えば、長袖のパジャマを着ている子供たちにとって、これらの制限はプレイの妨げとなることがあります。
操作性とコンテンツの評価
一部のゲームでは、子供たちが「手が安定しない」と不満を漏らすほど、コントロールの精度に課題がありました。また、著者は自身の動きに対してPlaygroundにラグがあるように感じたとも述べています。これらの技術的な問題は、特に精密な操作を要求されるゲームで顕著でした。
一方で、精度を要求しないゲーム、特に「Mirrorama」は子供たちに大人気で、大爆笑を誘いました。「Copy Cat」や「Brick Buster」といったゲームも好評でした。Nex Playgroundは「Bluey」や「Peppa Pig」、「Gabby’s Dollhouse」といった有名キャラクターブランドとの提携をマーケティングの柱としていますが、必ずしも子供たちがそれらのゲームに夢中になるわけではないことも示唆されています。
結論:楽しさは技術の完璧さだけではない
著者はNex Playgroundに対し、価格の割にゲームの質が十分ではないという感想を抱いています。しかし、数々のトラッキング失敗やゲームの荒削りさにもかかわらず、子供たちは「Flappy Bird」に似たゲームで夢中になって遊び、バーチャルボウリングの再戦を熱望しました。このことから、必ずしも完璧な技術や洗練されたグラフィックが楽しさを生み出すわけではなく、シンプルで身体を使ったインタラクションが、子供たちにとって何よりも重要であることをNex Playgroundは示しています。
