Apple製品から「カーボンニュートラル」表示が消える
Apple WatchとMac miniの製品ページから「カーボンニュートラル」の広告が削除されたことが明らかになりました。これは、新しいApple Watch Series 11およびApple Watch Ultra 3の製品ページで「カーボンニュートラル」への言及が一切なくなり、ハードウェアのアップグレードがないMac miniからも同様の表示が消えたことで判明しました。
「グリーンウォッシング」疑惑と法的措置
この変更の背景には、ドイツの裁判所が、ある環境団体からの「グリーンウォッシング」告発を受け、Apple Watchの「カーボンニュートラル」広告を禁止する判決を下したことがあります。Appleはこの判決後、ドイツのウェブサイトから当該表示を削除し、その後、世界中の製品ページから全ての「カーボンニュートラル」に関する言及を削除するに至りました。
Appleは以前、EUにおける「ネットゼロ炭素オフセットプロジェクト」や「炭素クレジット」に紐づく主張を禁止する規制に先立ち、EU全域で「カーボンニュートラル」の表示を削除する計画をReutersに語っていました。しかし、今回の措置は米国を含む全世界に及んでいます。
Appleの「カーボンニュートラル」基準と批判
2023年のプレスリリースで、AppleはカーボンニュートラルなApple Watchモデルが以下の厳格な基準を満たしていると説明していました。
- 製造および製品使用に100%クリーンな電力を使用
- 重量で少なくとも30%のリサイクルまたは再生可能素材を使用
- 出荷の少なくとも50%が航空輸送なしで行われる
これらの取り組みにより、製品排出量を少なくとも75%削減し、残りの少量の排出量については「高品質な炭素クレジット」を使用すると述べていました。この炭素クレジットは主に、パラグアイの森林再生プロジェクト(Forestal Apepuとの協力によるユーカリ植林など)から得られるとされていました。
しかし、一部の生態学者は、これらの植林が「生物多様性を損ない、大量の水を消費する可能性がある」と批判しており、Appleの今後の炭素クレジット利用計画は不透明なままです。
企業における環境主張の透明性とリスク
今回のAppleの対応は、企業が環境に関する主張を行う際の透明性と正確性の重要性を浮き彫りにしています。特に「グリーンウォッシング」と見なされる行為は、ブランドイメージの毀損、法的・規制上のリスク、そして消費者からの信頼失墜に直結します。企業は、環境負荷低減への取り組みを明確かつ検証可能な形で示す必要があり、その主張が実態と乖離していないかを常に監視し、コンプライアンス体制を強化することが求められます。環境規制が厳格化する中で、企業は自社の環境戦略とコミュニケーション戦略を再評価し、潜在的なリスクを管理することが不可欠です。
元記事: https://www.macrumors.com/2025/10/02/apple-watch-mac-mini-no-carbon-neutral-label/