次世代Wi-Fi「Wi-Fi 8」のプロトタイプが初公開
TP-Linkは、次世代無線LAN規格「Wi-Fi 8(802.11bn)」の初期プロトタイプハードウェアのテストに成功したことを発表しました。これは、Wi-Fi 8の実現可能性を証明する「極めて重要なマイルストーン」となるものです。今回のテストでは、ビーコンおよびデータ転送機能が検証され、その技術的な基盤が確立されました。このプロトタイプハードウェアは「業界共同パートナーシップ」を通じて開発されたとされています。
速度よりも「安定性」を重視するWi-Fi 8
Wi-Fi 7の展開が始まったばかりですが、TP-Linkはすでに次世代接続技術への進歩を示しています。Qualcommの解説によると、Wi-Fi 8は「より高速な帯域幅を追求するのではなく、デバイスをオンラインで安定させること」を主な目的としています。Wi-Fi 8は、Wi-Fi 7と同様に2.4 GHz、5 GHz、6 GHzの帯域を利用し、理論上の最大チャネル帯域幅は320MHz、ピークデータレートは23Gbpsを維持します。しかし、その真価は実世界でのパフォーマンスと接続の信頼性向上にあります。
混雑したネットワーク環境でのセキュリティと信頼性の向上
Wi-Fi 8の主要な目標は、信号強度が低い環境や、多数のデバイスが接続する高負荷なネットワーク環境でのパフォーマンスを向上させることです。これにより、より多くのデバイスを同時に管理し、ルーターから離れた場所や移動中でも遅延を低減することが可能になります。ユーザーは、ゲーミングやストリーミング体験がスムーズになり、ビデオ通話中のフリーズや切断、音声の途切れ(「ロボットボイス」)を防ぐことができるようになります。
セキュリティの観点から見ると、安定した接続はネットワークの脆弱性を低減し、重要な通信の信頼性を高める上で不可欠です。不安定な接続は、パケットロスや再送信の増加を引き起こし、潜在的な攻撃経路を提供する可能性があるため、Wi-Fi 8が提供する安定性向上は間接的にセキュリティ強化に寄与すると考えられます。Qualcommは「Wi-Fi 8は、ピーク速度を超えて、困難な実世界条件下での信頼性の高いパフォーマンスを優先する根本的な転換点となる」と述べており、「有線インフラストラクチャの信頼性と応答性にこれまで以上に近づけるように設計されている」と強調しています。
今後の展開と市場投入
IEEEによるWi-Fi 8標準の最終承認は2028年までに予定されています。TP-Linkは、この標準の批准に先立って、消費者向けデバイスが市場に投入されることを期待しており、次世代の無線LAN技術が私たちのデジタルライフに新たな安定性をもたらす日も近いでしょう。
元記事: https://www.theverge.com/news/798780/wi-fi-8-prototype-tp-link-test-explained
