Amazon、配送ドライバー向け「Amelia」スマートグラスを発表
Amazonは、配送ドライバーを支援するためのスマートグラス「Amelia」を発表しました。このデバイスは、内蔵ディスプレイと常時オンのカメラを搭載し、ドライバーの業務効率化と安全性向上を目指しています。
「Amelia」の主な機能と業務効率化
「Amelia」グラスは、配送プロセスにおいて多岐にわたる機能を提供します。具体的には、配送バン内の適切な荷物の特定、正確な住所へのターンバイターン方式の道案内、そして配達完了時のハンズフリー写真撮影などが可能です。これにより、ドライバーはスマートフォンを取り出す手間を省き、より迅速に作業を進めることができます。
さらに、Amazonは、アパートなどの複雑な環境や危険な場所での安全な誘導も可能であると説明しています。このグラスは、交換可能なバッテリーを内蔵したベストと連携し、写真撮影用のボタンや緊急時に助けを呼ぶための専用ボタンも備えています。
将来の機能拡張と監視の可能性
Amazonは、「Amelia」グラスの将来的な機能拡張にも言及しており、リアルタイムでの荷物誤配検出、低照度などの危険検知、さらには庭にペットがいる場合の通知機能などを想定しています。これらの機能は、配送の精度と安全性をさらに高めるものと期待されます。
しかし、これらの機能、特に常時オンのカメラやリアルタイム監視の可能性は、セキュリティとプライバシーに関する重大な懸念を引き起こします。ドライバーの行動が常に記録されること、そして顧客の敷地内での映像が収集されることについて、倫理的な議論が必要となるでしょう。
消費者向けモデル「Jayhawk」とプライバシー問題
Amazonは、配送ドライバー向けの「Amelia」とは別に、コードネーム「Jayhawk」と呼ばれる消費者向けスマートグラスも2026年か2027年に発売する可能性があると報じられています。配送現場での「Amelia」の導入は、将来の消費者向けデバイスにおけるプライバシーと監視のあり方を示唆しているとも考えられます。
Amazonの公式ブログ記事では、これらのグラスが配送プロセスの「ラストワンマイル」を監視することによって生じる、労働者や顧客からの倫理的な懸念については触れられていません。常時録画される可能性のあるカメラや、詳細な行動データが収集されることに対し、プライバシー保護団体や市民からの反発が予想されます。
セキュリティ専門家からの視点
セキュリティ専門家は、このような常時接続・常時監視型のデバイスが普及するにつれて、データ収集の範囲、データの保存方法、そしてデータへのアクセス権限について、より厳格な規制と透明性が必要であると指摘しています。特に、個人情報や行動履歴が企業によってどのように利用されるのか、その説明責任が強く求められるでしょう。