上院公聴会で浮き彫りになったテック企業の対応の差
米上院の公聴会で、大手テック企業が政府からのコンテンツモデレーションに関する圧力にどう対応したかが議論されました。MetaとGoogleの幹部が出席し、それぞれの企業が過去の政府要請に対する姿勢を説明。この公聴会は、政府によるテックプラットフォームへの介入と、それに対する企業の自主規制のあり方について、改めて大きな注目を集めました。
Metaの「後悔」と共和党への歩み寄り
Metaの公共政策担当副社長ニール・ポッツ氏は、バイデン政権からの健康や選挙に関する誤情報の削除要請に対し、もっと公然と反発すべきだったと後悔の念を表明しました。彼は書面による声明で、「政府の圧力は間違っており、もっと率直に発言すべきだったと願っている」と述べ、いかなる政権からの圧力によってもコンテンツ基準を妥協すべきではないとの姿勢を示しました。
Metaは最近、司法省からの「働きかけ」を受けて、移民税関執行局(ICE)の活動を追跡するFacebookページを削除した事例も報じられています。同社は年初にファクトチェックポリシーを大幅に変更し、マーク・ザッカーバーグCEOも昨年、バイデン政権からの「検閲」圧力について発言しなかったことを後悔していると述べています。これらの動きは、共和党からの長年の批判に対応し、保守派の意向に沿う姿勢を示していると見られています。
Googleの「独立した判断」と一貫した姿勢
一方、Googleの政府関係・公共政策担当副社長マーカム・エリクソン氏は、政府からのコンテンツ削除要請への対応は「通常の業務」であると主張し、Metaとは異なる姿勢を明確にしました。
エリクソン氏は、Googleが世界中の政府から定期的にコンテンツ削除要請を受けており、バイデン政権からのものを含め、時にはそれらを拒否していると説明。「情報がどのように我々に届くかに関わらず、我々は独立した決定を下す責任を感じ、その方法を誇りに思っている」と強調しました。
Googleもまた、バイデン政権のコンテンツモデレーション要求を批判しており、YouTubeでは選挙やCOVID-19に関する誤情報でBANされたクリエイター向けの「セカンドチャンス」ポリシーを導入するなど、言論の自由への配慮を示す動きを見せています。
民主党からの批判とトランプ政権の影
民主党議員らは、公聴会がバイデン政権の数年前のモデレーション決定に焦点を当てていることに疑問を呈し、トランプ政権による言論の自由に対する「はるかに深刻な」攻撃を無視していると批判しました。
ジャッキー・ローゼン上院議員(民主党)は、「この委員会が米国の言論の自由の現状を検証する必要があることには根本的に同意するが、今日の公聴会は再び的を外している」と述べました。エド・マーキー上院議員(民主党)は、トランプ前大統領がMetaのCEOを投獄すると脅したり、Googleを刑事訴追するよう司法省に促したりした事例を挙げ、その脅威の深刻さを指摘しました。
新たな法案の動きとFCC議長の不在
テッド・クルーズ上院議員(共和党)は、政府当局とテック企業間のコミュニケーションの透明性を高め、政府の要請により不当に検閲されたと考える個人が損害賠償を請求できる法案(JAWBONE法案)を準備しています。公聴会の証人たちは、最終的な法案の内容は見ていないものの、このアプローチを概ね支持する意向を示しました。
しかし、民主党議員らは、コンテンツモデレーションに関する物議を醸す発言で知られる連邦通信委員会(FCC)のブレンダン・カー議長が公聴会に不在であることに繰り返し言及し、「適切な公聴会かもしれないが、適切な証人がいるか分からない」と、証人の選定に疑問を呈しました。
元記事: https://www.theverge.com/policy/809613/senate-commerce-jawboning-tech-speech-hearing
