はじめに:音声AIハードウェアの新星「Stream」
元Metaの従業員が設立したスタートアップSandbar AIは、音声メモの記録、AIアシスタントとの対話、音楽制御が可能なスマートリング「Stream」を発表しました。同社はこれを「声のためのマウス」と称し、ユーザーがスマートフォンを取り出すことなく、あるいは周囲に聞かれることを気にせずに、瞬時に思考を捉えることを目指しています。
「Stream」リングの革新的な機能
Streamリングは、利き手の人差し指に装着するよう設計されており、マイクとタッチパッドを搭載しています。特筆すべきは、マイクがデフォルトでオフになっており、タッチパッドを長押しするジェスチャーでのみ起動する点です。これにより、プライバシーが保護され、必要な時だけ音声を拾うことができます。ささやき声も認識し、専用のiOSアプリに文字起こしされます。
- AIチャットボット連携: アプリ内にはAIチャットボットが搭載されており、記録された思考についてユーザーと対話したり、メモを編集したりすることが可能です。
- パーソナライズされた音声: アシスタントの音声はユーザーの声に似るようにパーソナライズされます。
- 触覚フィードバック: ヘッドホンなしでも、リングはメモが正常に登録された際に触覚フィードバックを提供します。
- メディアコントローラー: リングの平らな表面は、音楽の再生、一時停止、スキップ、音量調整などのメディアコントローラーとしても機能します。
セキュリティとデータプライバシーへのコミットメント
セキュリティニュースの観点から特に注目すべきは、Sandbar AIがユーザーのデータプライバシーと制御に強くコミットしている点です。CEOのMina Fahmi氏は、ユーザーがあらゆるティアで自身のデータに対する完全な制御権を持つことを強調しています。さらに、データは保存時および転送時の両方で暗号化されると述べています。
同社は「ウォールドガーデン」の概念を否定しており、将来的にはNotionなどの他のアプリケーションへのデータエクスポートもサポートする計画です。これは、ユーザーが自身のデータを自由に管理できる環境を提供しようとする姿勢を示しており、今日のデータプライバシーが重視される時代において重要な要素となります。
市場の競争とSandbarの展望
音声AIハードウェア市場は競争が激しく、Plaud、Pocket、Friend、Limitless、Taya、Beeなど、様々な形態のデバイスが存在します。HumaneやRabbitといった企業もこの分野で活動しています。
Sandbar AIは、Streamを単なるアシスタントやコンパニオンとしてではなく、ユーザーがアイデアを表現し、完全な制御を維持するためのインターフェースとして位置づけています。Streamリングの予約注文は、シルバーバージョンが249ドル、ゴールドバージョンが299ドルで開始され、来夏に出荷が予定されています。また、無制限のチャットやメモ、新機能への早期アクセスを提供する月額10ドルのProサブスクリプションも提供されます(予約注文者には3ヶ月間無料)。同社はTrue Ventures、Upfront Ventures、Betaworksから1300万ドルの資金を調達しています。
