ChatGPTの爆発的成長と2025年の主要な動き
OpenAIが提供するAIチャットボット「ChatGPT」は、2022年11月のリリース以来、世界中で爆発的な成長を遂げています。2025年9月現在、週間のアクティブユーザー数は3億人に達し、その影響力は増すばかりです。2024年にはAppleとの提携やGPT-4oのリリース、テキストから動画を生成するSoraの発表など、大きな進展がありました。しかし、その一方で、著作権侵害訴訟や内部の幹部流出、そして中国の競合他社との競争激化など、多くの課題にも直面しています。
未成年ユーザー保護の強化と法的課題
2025年9月、OpenAIは未成年ユーザーの保護を目的としたペアレンタルコントロール機能をウェブ版およびモバイル版ChatGPTに導入しました。これは、チャットボットがティーンの自殺に関与したとされる訴訟を受け、規制当局の監視が強まる中で実施されたものです。この機能により、保護者は機密コンテンツの制限、利用時間の制限、音声モードや画像生成機能の無効化などの安全対策を講じることができます。
また、OpenAIは未成年ユーザー向けのChatGPT利用規約を厳格化し、未成年者との不適切な会話をブロックし、自殺に関する議論に対する保護を強化すると発表しました。深刻なケースでは、保護者や当局にエスカレーションする措置も講じられます。これは、AIコンパニオンがもたらす精神的健康リスクへの懸念が高まる中で、企業が責任を果たす姿勢を示したものです。
8月には、16歳のティーンの自殺を巡る訴訟に直面し、OpenAIはブログで精神的健康リスクの検出強化とペアレンタルコントロール機能を含む新たな安全対策を導入したと発表しました。
AIセラピーのプライバシーと潜在的リスク
2025年7月、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、AIセラピーの利用について機密保持の欠如を警告しました。人間のセラピストとは異なり、AIツールは医師と患者の機密保持義務に縛られないため、ユーザーはAIに感情的なサポートを求める際に注意が必要であると述べました。
スタンフォード大学の研究者らも、AIセラピーチャットボットには重大なリスクがあることを指摘しています。大規模言語モデルを搭載したセラピーチャットボットは、精神疾患を持つ人々をスティグマ化したり、不適切または有害な反応を示す可能性があると警告しています。ユーザーがAIを「コンパニオン、相談相手、セラピスト」として利用する中で、「重大なリスク」が確認されたとのことです。
新機能とプライバシーへの影響
ChatGPTは、ユーザーの利便性を高めるための新機能を次々と導入しています。9月には、パーソナライズされた朝のブリーフィングを提供する「ChatGPT Pulse」を発表し、AIをよりプロアクティブなアシスタントとして位置づけました。また、「Instant Checkout」機能により、ユーザーはChatGPT内でEtsyやShopifyの製品を直接購入できるようになり、オンラインショッピングの体験を再構築しようとしています。
しかし、これらの機能拡張と並行して、プライバシーに関する懸念も浮上しています。サム・アルトマンCEOは、ChatGPTをよりパーソナライズするために、個人の生活のあらゆる詳細を記録し記憶するというビジョンを語っています。これは、ユーザーにとって利便性をもたらす一方で、広範な個人情報収集とプライバシー侵害の可能性をはらんでおり、今後の議論の焦点となるでしょう。
技術的進歩と安全性への取り組み
OpenAIは、AIモデルの性能向上にも注力しています。8月には、よりスマートでタスク処理能力の高い次世代AI「GPT-5」を発表しました。さらに、9月にはAIコーディングエージェントの強化版「GPT-5-Codex」をリリースし、バグ修正や大規模なリファクタリングにおいてGPT-5を上回る性能を発揮するとされています。
一方で、安全性への配慮から、OpenAIは7月に予定していたオープンモデルのリリースを延期しました。これは、追加の安全性テストと高リスク領域のレビューに時間を要するためであり、技術的な進歩と安全性のバランスを取ろうとする企業の姿勢がうかがえます。
競争と市場動向
AI市場における競争は激化しており、OpenAIは中国のDeepSeekのような競合他社に市場を譲るまいと奮闘しています。8月には、イーロン・マスク氏のAIスタートアップxAIが、AppleとOpenAIが市場を独占しているとして連邦訴訟を提起しました。また、OpenAIはインドネシアやインドで低価格のサブスクリプションプラン「ChatGPT Go」を展開し、新興市場でのシェア拡大を図っています。
結論
2025年のChatGPTは、目覚ましい技術的進化とユーザーベースの拡大を続ける一方で、未成年ユーザーの保護、AIセラピーのプライバシー問題、そして広範な個人情報収集の可能性といった重大なセキュリティおよびプライバシー課題に直面しています。OpenAIがこれらの課題にどのように対応し、技術革新とユーザーの安全・プライバシー保護のバランスをどのように取っていくのか、今後の動向が注目されます。
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元記事: https://techcrunch.com/2025/09/30/chatgpt-everything-to-know-about-the-ai-chatbot/