はじめに:マストドン4.5アップデートの主要機能
分散型オープンソースソーシャルネットワークであるマストドンは、最新のソフトウェアアップデートバージョン4.5をリリースしました。このアップデートの目玉は、引用投稿機能が全てのサーバーオペレーターに提供されることと、それに伴う強化された安全対策です。
この機能は、X(旧Twitter)やThreadsといった大手プラットフォームとの競争力を高める一方で、マストドン独自のネットワーク文化を保護するために慎重に設計されました。引用投稿は会話を促進する重要な機能ですが、マストドンは過去に他のプラットフォームで見られたような「ダンキング」(他者を嘲笑するような引用)文化の発生を強く警戒しています。
「ダンキング」文化への対策:引用投稿の安全機能
マストドンは、引用投稿機能の導入にあたり、ユーザーが自身の投稿がどのように引用されるかを細かく制御できるように設計しました。これにより、不快なやり取りやハラスメントのリスクを軽減し、より安全な環境を提供することを目指しています。
- 引用許可範囲の設定: ユーザーは、自身の投稿を「誰でも」「フォロワーのみ」「自分のみ」のいずれが引用できるかを選択できます。
- 引用投稿の公開範囲: 引用投稿自体の公開範囲も「公開」「フォロワーのみ」に加え、「静かな公開」というオプションが用意されています。この「静かな公開」設定では、引用投稿は公開されますが、マストドンの検索、トレンド、公開タイムラインからは除外され、意図しない注目を集めることを防ぎます。
- 投稿ごとの設定上書き: デフォルト設定とは別に、個々の投稿に対して引用設定を上書きすることが可能です。
- 引用されたユーザーへの通知: 自身の投稿が引用された場合、ユーザーにはアプリ内で通知が届きます。これにより、必要に応じて元の投稿を引用から削除する選択肢が与えられます。
- ブロック機能: ユーザーは、特定の相手からの引用を将来的に防ぐために、そのユーザーをブロックすることができます。
これらの機能は、引用投稿が持つ会話促進のメリットを享受しつつ、ユーザーが安心してプラットフォームを利用できるような強力な安全網を提供します。
サーバー管理者とユーザー体験の向上
バージョン4.5では、引用投稿機能以外にも、サーバー管理者向けの重要なツールやユーザー体験の改善が含まれています。
- サーバー管理者は、コンテンツフィードの無効化、ローカルフィードをホームページに設定、特定のユーザーのブロックなど、より詳細な管理オプションを利用できるようになりました。
- モデレーションインターフェースも更新され、リンクプレビューやメッセージ内の引用投稿など、より豊富なコンテキストが表示されるようになり、モデレーションの意思決定を支援します。
- ウェブインターフェースでは、ネイティブ絵文字のサポートが追加され、表現の幅が広がりました。
- また、古いサーバー(バージョン4.4以前)で発生していた返信の見逃し問題も修正されています。
フェディバースにおけるマストドンの位置づけ
マストドンは、ActivityPubプロトコルを基盤とするオープンなソーシャルウェブ「フェディバース」において、引き続き主要なネットワークの一つです。今回のアップデートは、ユーザーの安全と管理者の利便性を高めることで、フェディバース全体の健全な成長に貢献することが期待されます。
