個人AIスタートアップ「Eternos」が「Uare.ai」へ転換、データ主権とプライバシーを強調し新たな資金調達

個人AIスタートアップ「Eternos」が「Uare.ai」へ転換、データ主権を強調

2023年にLivePersonのCEOを退任したロバート・ロカシオ氏は、生成AIの進化に触発され、2024年に「Eternos」を設立しました。当初は、故人の声や物語を愛する人のために保存するレガシーサービスとしてスタートしましたが、利用者の多くが終末期ではないことに気づき、事業の方向性を転換しました。

この度、同社は「Uare.ai」としてリブランドし、MayfieldとBoldstart Venturesが主導するシードファンディングで1,030万ドル(約15億円)を調達したことを発表しました。Uare.aiは、個人が自身のAIモデルを所有し、管理できるパーソナルAIの提供に注力します。

故人のデジタルレプリカから個人の「Human Life Model (HLM)」へ

Eternosは、末期患者であったマイケル・ボマー氏が25時間かけて自身の人生、興味、世界観について語り、デジタルレプリカを作成したことで大きな注目を集めました。この経験を通じて、同社は個人のデータのみを使用し、一般的な大規模言語モデル(LLM)のデータに依存しない「Human Life Model (HLM)」というフレームワークを開発しました。

HLMは、個人の独自の価値観、人生の物語、意思決定の特性を捉えることを目的としています。

データ主権とプライバシー:大規模モデルとの差別化

ロカシオ氏は、大規模モデルが私たちのデータセットを利用して賢くなっている現状に対し、「私たちはその道を進む必要はない。あなたはモデルを所有し、共有し、収益化できる」と語っています。これは、個人データの主権とプライバシー保護に対する強いコミットメントを示しています。

Uare.aiのモデルは、Character.aiなどの他のチャットボットとは異なり、HLMにない情報については一般的なLLMに頼ることはありません。質問に答えられない場合は、「分かりません」と明確に回答することで、データの整合性とプライバシーを確保します。これは、セキュリティの観点からも非常に重要なポイントであり、ユーザーが自身のデジタルアイデンティティを完全にコントロールできることを意味します。

Uare.aiのビジョンと収益モデル

Uare.aiのビジョンは、クリエイターやプロフェッショナル向けのスケーリングツールとなることです。個人の専門知識を保持するデジタルレプリカは、コンテンツ生成、顧客対応、さらにはプロジェクト実行に活用できるとされています。

プラットフォームのローンチ後、ユーザーはテキスト、音声、ビデオを通じて、自身の人生、幼少期の物語、キャリアに関するUare.aiの質問に答えることでHLMのトレーニングを開始できます。収益は、サブスクリプション料金、またはデジタルツインから得られる収益の一部を徴収する形で計画されています。

競合と市場の展望

パーソナルAI開発の分野では、Sequoiaが支援する「Delphi」(アーノルド・シュワルツェネッガー氏の知識を再現)のような競合も存在します。しかし、Mayfieldのマネージングパートナーであるナビーン・チャッダ氏は、Uare.aiが公認会計士(CPA)のような個々のプロフェッショナルをターゲットとしている点、そしてロカシオ氏という成功した起業家が指揮を執っている点で、競合他社とは一線を画すと評価しています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/11/immortality-startup-eternos-pivots-to-a-personal-ai-that-sounds-like-you/