AIコーディングソフトウェア「Lovable」が年間経常収益2億ドルを達成、急成長を支える欧州戦略

AIコーディングソフトウェア「Lovable」が年間経常収益2億ドルを達成

AIを活用したコーディングソフトウェアを開発するスウェーデンの企業「Lovable」が、その目覚ましい成長を報告しました。共同創業者兼CEOのアントン・オシカ氏が2025年Slushテクノロジーカンファレンスで発表したところによると、同社の年間経常収益(ARR)はわずか4ヶ月で2億ドルに倍増しました。これは、創業わずか1年の同社が7月に1億ドルのARRを突破した直後の快挙です。AIアシスタントによるコーディングが急速に普及する中、このようなツールが開発プロセスに与える影響、特にコードのセキュリティと信頼性に対する潜在的な影響は、サイバーセキュリティの観点からも継続的な監視が必要です。

成功の鍵は「欧州拠点」:シリコンバレーに固執しない戦略

オシカ氏は、Lovableの成功要因として、シリコンバレーへの移転を敢えて選択しなかったことを強調しました。多くの初期段階での助言に反して、欧州に留まる決断が奏功したと彼は語ります。オシカ氏は、「この国からでもグローバルなAI企業を構築できることを示せる」と述べ、欧州のAI市場がシリコンバレーほど性急ではない環境が、同社の成長に有利に働いたと分析しています。この戦略は、技術企業が世界的な成功を収めるために、必ずしも特定の技術ハブに依存する必要がないことを示しており、地域に根ざした開発エコシステムがもたらす多様なセキュリティ課題への対応も重要となります。

オープンソースコミュニティと優秀な人材の誘致

投資会社Accelのパートナーであるジェーニャ・ログインノフ氏は、LovableがNotionやGustoのようなシリコンバレーの主要企業から優秀な人材をストックホルムに惹きつけ、対面での勤務を可能にしたことで、「常識を覆した」と評価しています。さらに、オシカ氏は、技術の継続的な改善においてオープンソースコミュニティの役割が不可欠であると指摘しました。「コミュニティのメンバーはDiscordで何千時間も議論を重ね、技術を前進させている」と彼は述べています。オープンソースソフトウェアの活用は、透明性と迅速な改善を促す一方で、コミュニティ主導のセキュリティベストプラクティスと脆弱性管理の重要性を高めます。

「Vibe Coding」市場の急拡大とAIアシスタントの台頭

Lovableの功績は、「Vibe Coding」という新しいコーディングパラダイムが、ベンチャーキャピタルから巨額の投資を集め、ユーザーの間で急速に普及している現状を象徴しています。先週には、別のAIコーディングアシスタントであるCursorが23億ドルの新たな資金調達を発表し、評価額は293億ドルに達しました。Accelもこのラウンドに参加しています。AIを活用した開発ツールがソフトウェア開発の主流となる中で、これらのツールが生成するコードのセキュリティ、プライバシー保護、そして潜在的なバグへの対応策は、開発者や組織にとって優先度の高い課題となっています。

資金調達の状況

Lovableは創業からわずか1年で、総額2億2500万ドル以上のベンチャー資金を調達しています。直近では、Accelがリードし、20社以上の投資家が参加したシリーズAラウンドで2億ドルを調達し、企業評価額は18億ドルに達しました。この大規模な資金調達は、AIコーディング市場への強い期待と、その技術が今後のソフトウェア開発とそれに伴うセキュリティ対策に与える影響の大きさを明確に示しています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/19/as-lovable-hits-200m-arr-its-ceo-credits-staying-in-europe-for-its-success/