「キッズオンラインセーフティパッケージ」を発表
米国下院エネルギー商業委員会は、オンラインでの子供たちの保護を目的とした19本の法案からなるパッケージを発表しました。これには、物議を醸している「キッズオンラインセーフティ法(KOSA)」の新たなバージョンも含まれています。この動きは、近年で最も実質的なインターネット規制が可決される可能性を秘める一方で、オンライン言論の自由に関する議論を巻き起こす可能性があります。
これらの法案は、火曜日に商業小委員会で審議される予定です。KOSAは、サイバーいじめ、性的搾取、オンラインでの薬物購入など、さまざまなオンライン被害で子供を亡くした親たちからの擁護の中心となってきました。
KOSA改正のポイント
新バージョンのKOSAは、昨年圧倒的多数で可決された上院版の主要な特徴であった「注意義務(duty of care)」を削除しています。この「注意義務」は、テックプラットフォームが摂食障害やうつ病など、サービスに起因する害を軽減する法的責任を負うことを定めていました。しかし、批評家からは、この規定がKOSAが解決を目指すはずの害を軽減するためのリソースを含む、合法的な言論までもを規制してしまう可能性があるとの懸念が表明されていました。
下院の新たな議論草案では、「注意義務」に代わり、ソーシャルメディアプラットフォームに以下の4つの具体的な種類の害に対処するための「合理的な方針、慣行、および手順」を設けることを義務付けています。
- 身体的暴力の脅威
- 性的搾取および虐待
- 麻薬、タバコ製品、大麻製品、ギャンブル、またはアルコールの配布、販売、または使用
- 欺瞞的な慣行によって引き起こされるあらゆる金銭的損害
これらの対策の範囲は、プラットフォームの規模と複雑さ、および害に対処するための技術的実現可能性に応じて適切である必要があります。また、新バージョンでは、非営利プラットフォームも法案の対象に拡大されています。
その他の重要法案
今回のパッケージには、KOSA以外にもいくつかの重要な法案が含まれています。
- App Store Accountability Act(アプリストア説明責任法):アプリストアレベルでの年齢認証と、年齢シグナルを開発者に送信することを義務付ける連邦法案です。いくつかの州で同様の法案が可決されています。
- Children and Teens’ Online Privacy Protection Act(COPPA 2.0):プライバシー保護の対象年齢を、以前の法律の13歳未満から17歳未満に引き上げ、対象となる子供たちへのターゲット広告を禁止します。
- Reducing Exploitative Social Media Exposure for Teens (RESET) Act(ティーンの搾取的ソーシャルメディア露出削減法):16歳未満の子供やティーンがソーシャルメディアプラットフォーム上でアカウントを維持することを禁止する、現在の議論草案です。
議会の動向と今後の見通し
昨年、下院共和党指導部がKOSAの審議を見送った後、今回のパッケージの発表は重要な一歩となります。上院では91対3で承認されたにもかかわらず、下院議長のマイク・ジョンソン氏と多数党院内総務のスティーブ・スカリス氏は、この法案の合憲性と表現の自由への影響を懸念していました。一部の反対派は、彼らがテック業界への投資を理由に業界と親密になっていると非難しました。
しかし、今回、下院指導部は子供たちのオンライン安全に関する立法を再検討するという約束を果たす可能性が出てきました。ただし、内容はすでに昨年提案されたものとは大きく異なっており、最終的に成立するかどうかはまだ不透明です。
元記事: https://www.theverge.com/news/829492/house-energy-commerce-kids-online-safety-package
