キャンベルスープ、IT副社長の「3Dプリント肉」発言を否定

キャンベル、IT副社長の発言巡り「3Dプリント肉」疑惑を否定

食品大手キャンベル(Campbell’s)は、自社スープに3Dプリント肉、ラボ栽培肉、またはバイオエンジニアリング肉を一切使用していないと公式に発表しました。この発表は、同社の情報技術担当副社長によるものとされる、肉が「3Dプリンターから来た」との発言を記録した音声が流出した直後のことです。

流出音声の内容と背景

問題の音声は、キャンベルの元従業員が提起した訴訟の一環として公開されました。この録音には、IT担当副社長のマーティン・バリー氏とされる人物が、人種差別的なコメントと共に、キャンベルの食品を「バイオエンジニアリングされ、貧しい人々向け」と評する場面が含まれています。特に、「3Dプリンターから来たようなクソみたいなチキンは食べたくないだろう?」という発言が注目を集めました。

キャンベルの公式見解と対応

キャンベルは、ウェブサイト上で「最近の動画には当社の原材料に関する虚偽のコメントが含まれている」と説明。「録音された食品に関するコメントは、不正確であるだけでなく、不合理極まりない」と強く否定しました。

同社は、「当社はラボ栽培チキンや、いかなる形態の人工肉、バイオエンジニアリング肉もスープには使用していません」と断言。使用している鶏肉は「信頼できる米国内のサプライヤーから調達され、米国農務省(USDA)の基準を満たしている」と強調しています。

なお、マーティン・バリーIT担当副社長は、現在、これらの疑惑に関する調査のため休職処分となっています。キャンベルは、発言が「当社の食品製造方法とは全く関係のないIT部門の人間によってなされたもの」であることを強調し、発言の信頼性を低める姿勢を示しています。

ITと食品技術の交錯

今回の騒動は、「3Dプリント肉」という概念がもはやSFの世界の話ではないことを浮き彫りにしました。実際にKFCは2020年、鶏の細胞と植物素材を用いてラボ栽培ナゲットを「プリント」する技術の開発をロシア企業と共同で進めていると発表しています。

キャンベルのケースでは、食品の品質管理とは直接関連しないIT部門の幹部の発言が大きな波紋を呼びましたが、これは食品産業におけるイノベーション、特に代替肉技術情報技術の進化が密接に絡み合っている現代の状況を象徴しているとも言えます。食品企業は、サプライチェーンの透明性や新たな食品技術に対する消費者認識といった面で、これまで以上に厳格な情報管理とコミュニケーション戦略が求められるでしょう。


元記事: https://www.theverge.com/news/829516/campbells-3d-printed-chicken-soup