Intel、TSMCから引き抜いた幹部が「企業秘密を盗んでいない」と主張

疑惑の中心:TSMC元幹部のIntel移籍

Intelは、台湾積体電路製造(TSMC)から引き抜いた主要な幹部が企業秘密を盗んだとする疑惑に対し、自社を強く弁護しています。一方で、TSMCはこの幹部を提訴し、台湾の検察当局も今回の事態に対する捜査を開始しました。

TSMCによる提訴の背景

今年秋にIntelに加わった台湾人エンジニア、魏-ジェン・ロー(Wei-Jen Lo)氏は、かつてIntelに在籍し、その後2004年にTSMCへ移籍。TSMCの成功を支えた人物として知られています。

しかし、TSMCはロー氏を提訴し、同氏が雇用契約および競業避止義務に違反しただけでなく、台湾の営業秘密法にも抵触したと主張しています。TSMCは「ロー氏がTSMCの企業秘密や機密情報をIntelに利用、漏洩、開示、または移転する可能性が高い」と懸念を示しており、法的措置は「不可欠である」と述べています。

台湾当局による捜査の開始

ロイター通信によると、台湾の検察当局はロー氏に対する捜査を開始しました。捜査官はすでにロー氏の自宅2か所を捜索し、コンピュータ、USBドライブ、その他の証拠を押収しています。さらに、同氏の不動産や株式も差し押さえの対象となる可能性があります。

Intelの反論と業界の視点

匿名を条件に取材に応じたIntelの広報担当者はロイターに対し、「我々が知る限り、ロー氏に関する疑惑にメリットがあるとは考えていない」と述べています。また、Intelは「第三者の機密情報の移転を禁止する方針を真剣に受け止めている」と強調しました。

台湾当局は企業秘密の保護に非常に厳格であり、今年だけでも別の半導体メーカーの技術盗用に関与したとして3人が起訴された事例があります。今回の事態は、米国政府がIntelに10%の株式を保有し、Intelを半導体大手に復活させ、AIブームに乗じてTSMCに対抗しようとしている中で発生したため、一層複雑な様相を呈しています。


元記事: https://www.theverge.com/news/831353/intel-tsmc-wei-jen-lo-trade-secrets