物議を醸すホラーゲーム『Horses』:Steam/Epic追放からGOG.comでの成功、そしてその評価

「Horses」:物議を醸すゲームがSteamとEpicからBAN、GOG.comでベストセラーに

インディーゲームスタジオSanta Ragioneとイタリア人映画監督Andrea Lucco Boleraによる新作ホラーゲーム『Horses』が、ゲーム業界で大きな議論を巻き起こしています。SteamとEpic Game Storeから販売を禁止された後、本作は独立系プラットフォームGOG.comでベストセラーとなり、表現の自由を擁護するゲーマーたちから支持を集めています。

ゲームプレイの概要と衝撃の「馬」

『Horses』は、プレイヤーが20歳の青年アンセルモとなり、父親の命で農場での2週間を過ごす物語です。プレイヤーは簡単なマウス操作で庭の水やり、犬の餌やり、そして「馬」の世話といった雑務をこなします。しかし、この「馬」とは、馬のマスクをつけられた裸の人間であり、彼らが受ける苦痛を通じて、プレイヤーは人間性の剥奪と受難を経験することになります。ゲームのクリアまでの時間は3〜4時間と比較的短いですが、その内容はプレイヤーに精神的な負担を強いるものです。

意図せざるユーモアがホラー体験を損なう

本作のレビューワーは、そのブラックユーモアの要素に驚きを表明しています。広範なコンテンツ警告や物語が含む残酷さを事前に知っていたにもかかわらず、ゲーム内での特定の描写が笑いを誘ったと報告されています。例えば、墓地には「Bojack」や「Artax」といった馬の名前が刻まれ、犬を撫でようとすると唸り声をあげる(その犬もまた動物マスクをつけた人間である)といった要素です。

また、FMV(フルモーションビデオ)とローファイなグラフィック、アニメーション、そしてインタラクションは、本来のホラー要素を意図せずコメディに変えてしまう側面がありました。具体的には、登場人物の顔が固定されたままセリフを話すシーンや、馬同士の性行為がピクセル化された人体模型が動いているように見える描写などです。これらのデザインは、むしろホラー感を削ぎ、皮肉な距離感を生み出し、作品が訴えたいメッセージを弱めてしまったと指摘されています。

表現の自由を巡る議論とゲームの評価

『Horses』がSteamからBANされたことは、ゲームにおけるアートと検閲の戦いの象徴として捉えられています。しかし、レビューワーは、このゲーム自体が過大な称賛を受けるほどの芸術的価値を持っているわけではないと考えています。ショックを与えるための演出が繰り返されることで、次第に単調に感じられ、プレイヤーの選択がほとんど許されないゲームデザインも、作品の深みを欠く要因となっています。

まとめ:プレイする価値はあるが、過大評価は禁物

最終的に、『Horses』は、その存在が議論を呼ぶ作品として、そして表現の自由という観点からプレイする価値はあります。ただし、その内容が常に期待通りのホラー体験や深い芸術的メッセージを提供するかというと、そうではないかもしれません。本作はGOG.com、Humble、itch.ioで現在販売中です。


元記事: https://www.theverge.com/games/839464/horses-review-santa-ragione-steam-epic-bans