はじめに
ICEBlockアプリの開発者が、トランプ政権の元当局者を相手取り、言論の自由の抑圧を理由に訴訟を提起しました。この訴訟は、政府関係者がAppleに対し、問題のアプリをApp Storeから削除するよう圧力をかけたことが、憲法修正第1条の違反にあたるとしています。
ICEBlockアプリの概要と削除の経緯
ICEBlockは、ユーザーが米移民税関執行局(ICE)の職員が公共の場所で目撃された際に、その位置を報告できるiPhoneアプリです。このアプリは、100万人以上のユーザーを抱えていましたが、10月上旬にAppleのApp Storeから削除されました。
削除の背景には、元フロリダ州司法長官のパム・ボンディ氏の声明があります。ボンディ氏は、「我々は本日、Appleに対しApp StoreからICEBlockアプリを削除するよう要求し、Appleはそれに応じた」と述べていました。Apple側は、アプリがガイドライン1.1.1に違反していると説明しており、これは「法執行機関職員の居場所に関する情報を提供し、彼らを個人的または集団的に害するために使用されうる」という理由によるものでした。この削除は、法執行機関からの情報提供に基づいているとされています。
開発者の主張と訴訟の焦点
アプリ開発者のジョシュア・アーロン氏は、ICEBlockアプリの作成、配布、宣伝は合法であり、米国憲法修正第1条によって保護される「言論の自由」に当たると主張しています。アーロン氏は、訴訟で指名された政府当局者がその職権を利用し、Appleにアプリを削除するよう圧力、脅迫、または強制を加えたと訴えています。
この訴訟は、これらの政府当局者による「違憲な脅威と要求」に異議を唱えるものであり、Appleがその圧力によってICEBlockアプリをApp Storeから削除したと指摘しています。特に、ボンディ司法長官のAppleに対する強制が、アーロン氏およびアプリの知的財産を所有するALL U Chart, Inc.の言論を検閲し、ICEBlockが一般に利用できなくなったと主張しています。
訴訟の求めるものとAppleの立場
アーロン氏は裁判所に対し、ICEBlockアプリの復元を許可すること、および政府当局がICEBlockの配布元を脅迫したり圧力をかけたりすることを阻止するよう求めています。
なお、Appleはこの訴訟において名指しされておらず、アーロン氏のターゲットではありません。Appleはアプリ削除の際、法執行機関の要請があったことを明確にしていました。
考察
この訴訟は、技術プラットフォーム上でのコンテンツ管理における政府の介入と、それが言論の自由に与える影響について、重要な問いを投げかけています。特に、政府からの圧力がプラットフォームによるアプリの提供停止につながったとされる場合、デジタル時代の表現の自由の境界線がどこにあるのかが問われることになります。
元記事: https://www.macrumors.com/2025/12/08/iceblock-dev-sues-trump-administration/
