Mistral AI、新コーディングAIモデル「Devstral 2」とCLI「Mistral Vibe」を発表し競争激化

はじめに

フランスのAIスタートアップであるMistral AIは、2025年12月9日、コーディングに特化した新世代AIモデル「Devstral 2」と、自然言語によるコード自動化を促進する新しいコマンドラインインターフェース(CLI)「Mistral Vibe」を発表しました。この発表は、同社がAnthropicなどの大手AIラボや、コーディングに焦点を当てた他の大規模言語モデル(LLM)との競争を激化させる動きとして注目されています。

新コーディングAIモデル「Devstral 2」

「Devstral 2」は、Mistral AIが最近発表したオープンウェイトモデルのMistral 3ファミリーに続くものです。このモデルは、特にビジネスユースケースにおいて関連性の高いコンテキスト認識の付加価値に重点を置いています。Devstral 2の主な特徴は以下の通りです。

  • 大規模モデル (Devstral 2): 1230億のパラメータを持ち、デプロイには少なくとも4基のH100 GPUまたは同等のハードウェアを必要とします。これは生産グレードのワークフローに焦点を当てたものです。
  • 軽量モデル (Devstral Small): 240億のパラメータを持つこのモデルは、一般消費者向けハードウェアでもローカルにデプロイ可能です。
  • ライセンス: Devstral 2は修正MITライセンス、Devstral SmallはApache 2.0ライセンスの下で提供されます。
  • 価格: Devstral 2は現在API経由で無料で利用できますが、無料期間終了後は入力/出力トークンあたり0.40ドル/2.00ドルとなります。Devstral Smallは0.10ドル/0.30ドルです。

「Vibe Coding」への参入と「Mistral Vibe CLI」

Mistral AIは、「Vibe Coding」の分野にも進出しており、その中心となるのが新しいCLIツール「Mistral Vibe」です。このCLIは、ファイル操作、コード検索、バージョン管理、コマンド実行などのツールを提供し、自然言語を通じてコードの自動化を容易にすることを目的としています。Mistral Vibeの重要な機能は、コンテキスト認識です。

  • 永続的な履歴: ユーザーとの過去の会話を記憶し、そのコンテキストを基に回答を導き出すLe Chatと同様に、Vibe CLIも永続的な履歴機能を備えています。
  • コンテキストの構築: ファイル構造やGitステータスをスキャンしてコンテキストを構築し、その振る舞いをより適切に情報に基づいたものにします。

これにより、開発者はより自然で効率的な方法でコーディングタスクを実行できるようになります。

市場での位置付けと戦略

Mistral AIの今回の発表は、より大規模で資金豊富なAI競合他社との差を縮めるという同社の意図を明確にするものです。同社は、Kilo CodeおよびClineとの提携によりDevstral 2をユーザーに提供し、Mistral Vibe CLIはIDE「Zed」の拡張機能として利用可能です。ヨーロッパのAI分野を牽引するMistral AIは、ASMLが13億ユーロ(約15億ドル)を投資したシリーズC資金調達ラウンドを経て、現在117億ユーロ(約138億ドル)と評価されています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/12/09/mistral-ai-surfs-vibe-coding-tailwinds-with-new-coding-models/