AIが変革する市場調査
900億ドル規模の市場調査業界は、企業が潜在顧客に自社をアピールする方法を見つける上で不可欠ですが、その洞察は高価で時間もかかります。カルガリーを拠点とするCashew Researchは、AIを活用することでこの状況を変革しようとしています。同社はAIを用いて、ブランドが求める情報に基づいた市場調査計画やアンケートを作成し、それを実際の回答者に送り、AIで結果を要約・分析します。
Cashew Researchの革新的なアプローチ
Cashew Researchは、顧客がブランド認知度やマーケティングスローガンの響きといった情報を得るためのカスタムアンケートを生成します。共同創業者兼CEOのAddy Graves氏は、従来のLLMが「誰もがインターネットで見つけられる同じリサイクルされたデータプール」を表面化するのに対し、Cashewは「カスタムで新鮮なデータを作成して質問に答える」と強調しています。
このアプローチにより、Cashewは、市場調査において以下の課題を解決します:
- 迅速なタイムライン: 数日以内に人間からのリアルなデータに基づいた完全な調査プロジェクトを可能にします。
- コスト削減: 自動化によりコストを抑え、中小企業でも市場調査を利用できるようにします。
創業者の経験とAIの登場
Addy Graves氏は10年以上にわたる市場調査の経験を持ち、顧客が数日以内に実世界データに基づいた完全な調査を求めるという課題に頻繁に直面していました。この課題は、AIの登場によって解決の糸口が見つかりました。
Graves氏は、「AIの登場によって、リサーチャーが使うプロセス、ベストプラクティス、データサイエンスに基づいた手法、そして誰もが求めるレポートのフォーマットを実際に自動化できるようになりました」と述べています。
競争優位性と将来展望
AIマーケティングツールが飽和状態にある中で、Cashew Researchは完全に自動化されていない点で差別化を図ります。各プロジェクトでは常に人間の新鮮なデータが収集され、これが市場調査の専門知識と組み合わされます。さらに、同社はクライアントから収集した実世界データを匿名化してデータベースに蓄積し、将来の調査に活用することで、独自のデータ資産を構築しています。
Cashewはすでにプレシード資金として150万カナダドルを調達しており、2026年初頭には最大500万ドルのシードラウンドを予定しています。この資金は、製品技術の継続的な開発、米国での事業拡大、B2Bビジネスの強化に充てられる予定です。
Graves氏は、「私たちは、マーケターがこれまで抱えていた質問への答えを得るための新しいカテゴリーを創造しているのです」と語り、市場調査の民主化を目指しています。
