フォードとSK On、米国のバッテリー合弁事業を解消

フォードとSK On、米国のバッテリー合弁事業を解消

米国の自動車大手フォードと韓国のバッテリーメーカーSK Onは、米国内における電気自動車(EV)バッテリーの生産に関する合弁事業を終了することで合意しました。この提携解消は、当初114億ドルという巨額の投資計画を伴う大規模な取り組みでしたが、EV市場の変動に対応するための戦略的な再編と見られています。

合弁事業の背景と当初の目的

約4年前、両社はEVシフトの加速を見据え、戦略的提携関係を構築しました。この合弁事業の目的は、テネシー州とケンタッキー州に最新鋭のEVバッテリー工場を建設し、特にフォードの次世代Fシリーズ電動トラック向けバッテリーを供給することにありました。これは、フォードの電動化戦略における重要な柱として位置づけられていました。

資産の分割と新たな事業体制

合弁事業の解消に伴い、両社は以下の通り資産の再配分を行うことになります:

  • フォードは、ケンタッキー州に所在する2つのバッテリー工場の所有権と運営権を完全に取得します。
  • SK Onは、テネシー州にある大規模なBlueOval SKキャンパス内の工場を引き続き運営します。

SK Onは、テネシー工場を中心としてフォードとの戦略的パートナーシップを今後も維持していくと表明しており、両社の関係が完全に断絶するわけではないことを強調しています。

解消の背景にある市場環境の変化

今回の合弁事業解消の背景には、EV市場の需要予測と現実との間に生じた乖離があります。近年、EV販売台数は増加しているものの、業界が当初設定していた野心的な成長予測には達しておらず、需要の伸び悩みが顕著になっています。さらに、米国の連邦EV税額控除の終了が、消費者のEV購入意欲に影響を与え、販売ペースの減速に拍車をかけたと分析されています。こうした市場環境の変動が、両社に事業戦略の見直しを促す主要な要因となりました。


元記事: https://techcrunch.com/2025/12/11/ford-and-sk-on-are-ending-their-u-s-battery-joint-venture/