Canva、Affinityを無料の統合デザインアプリとして再リリース:ユーザーのプライバシーとAI利用に懸念の声

Canva、Affinityを無料の統合デザインアプリとして再リリース

昨年Serifを買収したCanvaは、デザインスイート「Affinity」をMacおよびWindows向けの無料の単一アプリとして刷新しました。これにより、これまで別々のアプリとして提供されていたDesigner、Photo、Publisherの機能が統合され、ユーザーは一つのインターフェース内でVector、Pixel、Layoutの各モードをシームレスに切り替えることが可能になります。再設計されたアプリは、カスタマイズ可能なワークスペースを提供し、異なるスタジオのツールを組み合わせたり、パネルを再配置したり、特定のプロジェクトタイプに合わせて複数の設定を保存したりすることができます。また、カスタム設定をチームやコミュニティと共有し、ワークフローを標準化することも可能です。

無料化の裏にある「代償」:必須のCanvaアカウントとAI機能

今回の統合に伴い、いくつかの変更点があり、長年のAffinityユーザーからは懸念の声も上がっています。最も大きな変更点の一つは、ソフトウェアへのアクセスにCanvaアカウントが必須となったことです。アカウント登録自体は無料ですが、この変更は従来の買い切りモデルとは一線を画します。さらに、Canvaのプレミアムサブスクライバーは、Generative Fill、Expand & Edit、Remove BackgroundといったAIツールをAffinity内で直接利用できるようになります。AffinityのCEOであるAsh Hewson氏は「落とし穴はなく、機能が削減されたバージョンでも、ごまかしもない」と述べていますが、アカウントの必須化とAI機能の追加は、フリーミアムモデルへの移行を示唆しています。

ユーザーコミュニティからのプライバシーとデータ利用に関する懸念

この無料化の発表に対し、ユーザーコミュニティからはプライバシーとデータ利用に関する強い懸念が表明されています。多くのユーザーは、「無料の提供の裏で、我々が知らず知らずのうちに何を差し出しているのか?」という疑問を抱いています。特に、「画像やデザインがAI学習のためにスクレイピングされるのではないか」という懸念が強調されており、「無料は決して無料ではない」という意見が多数を占めています。また、将来的に機能が削除され、サブスクリプションの一部として再販される可能性や、「利用規約がいつでも変更され、プライバシーポリシーが複雑化する可能性」についても指摘されています。

Canvaの公式見解と今後の展望

ユーザーの懸念に対し、Canvaは「ユーザーのプロジェクトはAIモデルの学習には使用されない」と公式に声明を発表しています。また、AffinityまたはCanvaのコンテンツが第三者のモデル学習に使用されることもないと説明しています。しかし、アカウント必須化とAI機能の追加は、従来の買い切りモデルを好むユーザーにとって、今後の利用方針を再考させる要因となるでしょう。iPad版は来年リリース予定であり、既存のAffinity V2ライセンス保持者は、Canva統合なしで以前のソフトウェアを使い続ける選択肢も残されています。Canvaの戦略が、長年のAffinityユーザーにどのように受け入れられ、デザイン業界にどのような影響を与えるか、今後の動向が注目されます。


元記事: https://www.macrumors.com/2025/10/31/canva-relaunches-affinity-free-app/