セコイア・キャピタル、新共同スチュワード体制へ移行:FTX投資損失など困難な時代を経て

セコイア・キャピタル、新共同スチュワード体制へ

ベンチャーキャピタル業界の巨頭であるセコイア・キャピタルは、Senior Stewardを務めていたRoelof Botha氏の退任を発表し、新たにAlfred Lin氏とPat Grady氏が共同スチュワードに就任しました。Botha氏は2022年半ばに最高指導者の座に就いてからわずか3年余りでの退任となります。

新リーダーシップの顔ぶれ

新共同スチュワードの一人であるAlfred Lin氏は、2010年にセコイアに加わり、Airbnb、DoorDash、Kalshiといったカテゴリーを定義する企業への主要な投資を主導してきました。一方、Pat Grady氏は約19年間パートナーを務め、2015年からは成長段階の投資を率いており、ServiceNow、OpenAI、そして法務AIプラットフォームのHarveyなどの象徴的な企業を支援しています。

Botha氏の在任期間における試練とセキュリティ関連の教訓

Botha氏がリーダーシップを執った期間は、セコイアにとって激動の時代でした。特に、市場の低迷が多くのポートフォリオ企業の評価額を大幅に引き下げただけでなく、暗号通貨取引所FTXへの投資が破綻した際には、2億ドルもの損失を計上しました。これは、大手VCファームにとっても無視できない金融セキュリティ上のリスクと、デューデリジェンスの重要性を浮き彫りにする出来事でした。

さらに、2023年には米中間の政治的緊張と規制圧力の高まりを受け、セコイアはインドおよび中国事業を独立した別会社としてスピンオフさせました。

内部論争と多様性への視点

Botha氏の在任中には、パートナーであるShaun Maguire氏のニューヨーク市市長候補Zohran Mamdani氏に対するコメントが物議を醸し、広範なオンラインでの反発と議論を招きました。この件を巡り、最高執行責任者(COO)のSumaiya Balbale氏が、Maguire氏を懲戒しないという会社の決定に抗議して辞任する事態に発展しました。

Botha氏は、この件について「社内では多様な意見を尊重しており、セコイアには尖った人材が必要だ」と述べ、個々のパートナーの言論の自由を尊重する姿勢を示しました。

次なる投資への誓い

セコイアは、困難な時期を乗り越え、次のフェーズへと進むべく、最近オフィスを改装しました。そこには「我々の価値は次の投資によってのみ決まる」というメッセージが掲げられています。同社は先週、シリーズAスタートアップを対象とした7億5000万ドルのアーリーステージファンドと、2億ドルのシードファンドの設立を発表しており、新たな投資機会への意欲を示しています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/04/sequoia-names-alfred-lin-and-pat-grady-as-new-co-stewards-as-roelof-botha-steps-down/