Onton、AI活用ショッピングサイトを家具以外にも拡大するため750万ドルを調達

AI駆動型ショッピングプラットフォーム「Onton」が750万ドルを調達

AIを活用したショッピングサイトを運営するOntonが、家具市場を超えた事業拡大を目指し、新たな資金調達ラウンドで750万ドル(約11億円)を調達したことを発表しました。このラウンドはFootworkが主導し、Liquid 2、Parable Ventures、43などが参加しています。今回の調達により、同社の総資金調達額は約1000万ドル(約15億円)に達しました。

月間アクティブユーザー200万人超を誇るOntonの成長背景

以前は「Deft」として知られていたOntonは、AI駆動の家具ショッピングプラットフォームとして、驚異的な成長を遂げています。月間アクティブユーザー数は、わずか5万人から200万人以上に急増し、数百万件の検索と画像生成に対応しています。この目覚ましい成長が、今回の資金調達の原動力となりました。

Ontonの共同創設者であるザック・ハドソン氏は、大規模言語モデル(LLM)が意図を推測する能力は優れているものの、Eコマースにおける多くの問題を解決するには至っていないと指摘しています。また、消費者の購入意思決定にかかる平均時間が増加していることにも言及し、Ontonがこの課題に取り組んでいることを示唆しています。

独自技術「ニューロシンボリックアーキテクチャ」が解決する課題

Ontonの中核技術は、「ニューロシンボリックアーキテクチャ」と呼ばれるものです。ハドソン氏によると、このアプローチを用いることで、LLMの「ハルシネーション(幻覚)」問題が排除され、より優れた論理的な検索結果を提供できるといいます。Ontonのモデルは、製品説明に明示的に含まれていない現実世界の情報も学習する能力を持っています。

例えば、ハドソン氏は次のように述べています。「ペットに優しい家具を探しているとします。私たちのツールは、ポリエステルが含まれているアイテムが汚れや傷に強いことを知っており、それがよりペットに優しいと判断できます。私たちのツールは、すべての検索を通じてこれらの情報を学習し、より速い速度で賢くなっていきます。」この技術により、異なるサイトで異なる名称で呼ばれる製品に対しても、優れた検索結果を提供することが可能となっています。

AIを活用した革新的なショッピング体験

Ontonは、多様な入力方法と機能を導入することで、顧客の意思決定をサポートしています。ユーザーは画像をアップロードしたり、プロンプトを入力したりして、理想の住空間やオフィス空間を生成できます。そしてOntonは、そのイメージに基づいて家具を見つけることができます。

さらに、Ontonは画像生成機能を備えた無限キャンバスを提供しており、既存の画像と発見した製品を組み合わせてアイデアを練ることが可能です。自分の部屋の画像をアップロードして、AIに家具を配置してもらうこともできます。同社は、チャットのみのアプローチに固執するのではなく、これらの機能を提供することで、顧客が完璧な表現を知らなくても、求めているものにたどり着くための選択肢を増やすことができると考えています。このアプローチにより、Ontonは従来のEコマースサイトと比較して、顧客転換率を3〜5倍に向上させています。

家具からアパレル、家電へ — 事業拡大の展望とチーム強化

今回の資金調達を受け、Ontonは事業領域を拡大する計画です。まずはアパレル、そして最終的には家電製品といった新たなカテゴリへの進出を目指します。アパレル分野では、Daydream、Aesthetic、Style.aiなどの競合と直面することになります。

チーム体制も強化されており、2023年に3名だった正社員は現在10名に増加しました。今後はエンジニアと研究者を採用し、チームを15名まで拡大する予定です。


元記事: https://techcrunch.com/2025/11/26/onton-raises-7-5m-to-expand-its-ai-powered-shopping-site-beyond-furniture/