『Fallout』シーズン2は「おふざけ」を抑え、よりシリアスなテーマに踏み込む

導入: シーズン2の新たな方向性

Amazon Prime Videoで配信される人気シリーズ『Fallout』のシーズン2が、その世界観を大きく拡張し、より深遠なテーマに挑戦しています。前シーズンでは、ゲームの核となるユーモアと暗い雰囲気を絶妙に両立させ、原作を知らない視聴者をも魅了しましたが、シーズン2ではそのバランスに変化が見られます。

批評家向けの先行公開された6エピソードからは、物語がシリアスな方向に傾き、これまでの「おふざけ」要素が薄れていることが示唆されています。これにより、シリーズが持つ独特の楽しさが一部失われている可能性も指摘されています。

主要登場人物と物語の展開

シーズン2も引き続き、主要キャラクターであるルーシー、マキシマス、そしてグールの三人に焦点が当てられます。彼らは荒廃した世界において、「善玉」「悪玉」「醜い男」としてそれぞれの運命を辿ります。

  • ルーシー (エラ・パーネル):Vaultの住人であった彼女は、父親のハンク(カイル・マクラクラン)を追跡し、彼が都市を破壊した罪を償わせるため、グールと共に「ニューベガス」へと向かいます。
  • グール (ウォルトン・ゴギンズ):ルーシーの父親を追うのは、彼自身の失われた家族を見つける手掛かりとなると信じているからです。シーズンが進むにつれて、彼の戦前の生活が多数のフラッシュバックで描かれます。
  • マキシマス (アーロン・モートン):ブラザーフッド・オブ・スティールに戻った彼は、ライバルの新カリフォルニア共和国のリーダーを誤って殺したと信じられているため、英雄として迎えられます。

広がるウェイストランドと新要素

シーズン2では、ウェイストランド内のさらなる混乱と、新たな勢力、そして技術が描かれます。各グループ間の争いは激化し、ブラザーフッド内部でも古代の遺物を巡る内乱の危機が迫ります。ルーシーの故郷であるVault 33も、水危機や内部の分派によって窮地に立たされます。

また、「リージョン」という古代ローマの伝統を模倣する新勢力も登場。さらに、ユーザーの頭を爆発させてしまうという、戦前の制御技術も物語に加わり、その危険性が浮き彫りになります。

社会風刺と戦前の背景

『Fallout』シリーズが持つ痛烈な社会風刺は、シーズン2でも健在です。核戦争の原因は、あまりにも多くの権力を握ったテクノロジー寡頭政治家たちにあると描かれます。ある登場人物が「使う一ドル一ドルが投票になる」と語るように、億万長者たちが終末後のビジネスチャンスに唾液を垂らす様子が描かれたり、強力な企業「Vault-Tec」でのグールの妻バーブの役割が明らかにされたりするなど、戦前の出来事が詳細に語られます。

特に、グールの戦前のフラッシュバックは、核戦争がどのようにして起こったのか、その根源的な問いに対する示唆を与えます。

評価と配信情報

本作は、多くの要素が同時進行しているため、物語の進行が多すぎるという評価もあります。これにより、前シーズンで見られたユーモアの余地が少なくなり、全体的に重い雰囲気になっている点が指摘されています。しかし、批評家が視聴できたのは全8エピソード中6エピソードであり、最終的なバランスについてはまだ判断できません。

それでも、シーズン2は紛れもなく『Fallout』の世界観を継承しており、その拡張された物語は多くのファンを惹きつけるでしょう。『Fallout』シーズン2は、12月16日東部時間午後9時(日本時間12月17日午前11時)よりAmazon Prime Videoで配信が開始され、以降毎週新しいエピソードが公開されます。


元記事: https://www.theverge.com/entertainment/844926/fallout-season-2-review-amazon-prime-video