ヘッドホンサイト運営者が自身の課題解決から生まれたロイヤルティスタートアップ「Lantern」でビジネスの安定性を強化

顧客獲得コストの課題とロイヤルティの重要性

約10年間、オーディオ機器サイトHeadphones.comを運営してきたAndrew Lissimore氏は、顧客獲得のためのMetaやGoogle広告への継続的な支出に不満を抱いていました。オーディオ愛好家は新しいガジェットを試す傾向があるものの、既存顧客の維持に苦慮しており、より効果的なロイヤルティプログラムの必要性を痛感していました。

Shopifyエコシステムからの脱却と「Lantern」の誕生

Lissimore氏は、Shopifyエコシステム内でロイヤルティソリューションを探しましたが、ほとんどが単なる支出ベースや階層ベースのプログラムしか提供しておらず、自身のビジネスニーズを満たすものではありませんでした。そこで彼は、自身の問題を解決するために独自のシステムを構築することを決意しました。Headphones.comのロイヤルティ問題を解決するためのプロジェクトとして始まったものが、今や他の企業がロイヤルティソリューションを簡単に統合できるスタートアップ「Lantern」へと発展しました。

当初は複数のアプリを組み合わせて多様なロイヤルティポイント(スタンプ、支出、ポイント、紹介など)を提供していましたが、管理が困難で、ユーザーエクスペリエンスやブランドアイデンティティに課題が生じました。Lissimore氏は、「Shopifyネイティブで、カスタマイズと統合が容易なロイヤルティシステムがあれば素晴らしい」と考え、ShopifyのPolarisデザインシステムを構築したデザイナー、Kyle Peatt氏とDominic McPhee氏を共同創業者として迎え入れました。

Lanternが提供する包括的なロイヤルティソリューション

Lanternは、Shopifyを利用するあらゆるベンダー向けに、顧客アカウントの作成と管理、ロイヤルティプログラム、紹介プログラムを処理できます。ウェブサイトは、リピーターや新規顧客に報酬を与え、フォーラム参加などの活動に対してポイントを付与することも可能です。同社は、販売者が「追加のコードを一切必要とせず」、簡単にソリューションを統合できると説明しています。

実証された効果とビジネスへの貢献

Headphones.comがLanternを導入した後、リピート訪問者の購入率は30%から50%に向上しました。また、2台目のヘッドホン購入までの期間も198日から98日に短縮されました。現在、Lanternは年間2億ドル以上を売り上げるスキンケアサイトCounterや、フットウェアブランドVessiなどの顧客を抱えています。同社は、Lanternの価値を顧客に示すために、リテンションを効果的に測定するツールも構築しています。

資金調達と今後の展望:AIによるロイヤルティ強化

Lanternは、事業をさらに成長させるため、Salesforce Venturesが主導し、Sidekick Partners、Day One Ventures、VessiのTony Yu氏などの個人投資家が参加するシードラウンドで310万ドルを調達しました。同社はLoyaltyLionやYotpoといった既存のスタートアップと直接競合していますが、Salesforce VenturesのパートナーであるRob Keith氏は、Lanternがポイントベースのロイヤルティを超えた柔軟なアプローチでリテンションに取り組んでいる点を評価しています。

Keith氏は、Lissimore氏がマーチャントとしてリテンションの課題を経験し、Kyle氏とDominic氏がShopifyでPolarisデザインシステムを構築した経験を持つことから、「マーチャントが実際に何を必要としているか、そしてプラットフォームにネイティブに感じられるソリューションを構築する方法の両方を理解している」と述べています。Lanternの製品ロードマップには、AIを活用して顧客にリテンションに関するインサイトとレコメンデーションを提供する計画が含まれており、ビジネスの安定性(セキュリティ)をさらに強化する可能性を秘めています。


元記事: https://techcrunch.com/2025/10/16/how-a-headphone-site-operator-built-loyalty-startup-lantern-to-solve-his-own-problems/