OpenAI、投資会社Thrive Holdingsと新たな提携を発表
AI大手OpenAIは、投資会社Thrive Holdingsの一部所有権を取得したと発表しました。この取引は、Thrive Holdingsの親会社であるThrive Capitalが、皮肉にもOpenAIの主要投資家の一つであるという点で、「循環取引」として注目されています。The Financial Timesが報じた匿名情報源によると、OpenAIは今回の所有権取得に金銭を費やしていません。
金銭を伴わない戦略的提携と業界の動向
OpenAIは、Thrive Holdings傘下の企業に対し、従業員、モデル、製品、およびサービスを提供することで合意しました。その見返りとして、OpenAIは将来的にThrive Holdingsの収益から支払いを受ける可能性があります。これは、業界内で「乗り遅れることへの恐怖(FOMO)」に動かされ、少数の企業間で資金が循環する傾向がある中で、最新の「循環取引」と見られています。
ITサービスと会計分野へのAI導入を加速
今回の提携の焦点は、Thrive Holdingsが優先するITサービスと会計の二つの分野にあります。発表リリースによると、これらの分野は「大量でルールに基づいた、ワークフローが多岐にわたるプロセス」であり、OpenAIのプラットフォームが「即座に利益をもたらす」ことが期待されています。目標は、AIを活用して速度、正確性、コスト効率を向上させつつ、サービス品質を強化することです。
Thrive Holdings CEOが語るAIの変革力
Thrive HoldingsおよびCapitalのCEOであるジョシュア・クシュナー氏(トランプ前大統領の義理の息子ジャレッド・クシュナー氏の弟)は、AIがこれまでの技術とは異なり、業界を「外部から」ではなく「内部から」変革すると述べています。「私たちは、ドメインエキスパートや実務家がAIをネイティブツールとして活用し、それぞれの分野を再構築することで、このパラダイムシフトが内部から起こると信じています」とクシュナー氏はコメントしました。
OpenAIが得るもの:データと市場へのアクセス
The Financial Timesは、Thrive HoldingsがITサービスと会計分野の企業を買収する目的は、「AIを活用してそれらを変革すること」だと指摘しています。このOpenAIとの契約の一環として、OpenAIはThrive Holdings傘下企業のデータにアクセスし、それをAIモデルのトレーニングに利用できます。これにより、OpenAIは2つの潜在的な利点を得られます。
- Thrive Holdingsのポートフォリオ企業へのAI導入機会
- 新たな豊富なトレーニングデータソースの獲得
OpenAIのCOOであるブラッド・ライトキャップ氏は、Thriveとの契約が同様の新たな協定の波の最初の一歩となる可能性を示唆しており、OpenAIがより広範にプライベートエクイティ業界と協業したいと考えていることがうかがえます。
元記事: https://www.theverge.com/news/835453/openai-ownership-thrive-holdings
